第113話 地球(テラ)へ...

『まったく酷いわねぇ!』

 ワズマーミさんはそういうけどひでえのはさっきのあんたの顔だという一言はそっと胸にしまっておく。


 さてアミダラさんの滞在期限まであと2日、荷馬車の改造も明日には終わるだろうしとりあえずセイゴまでの出発の準備をしとかないとな。



『メーリールー!お前父ちゃんの事嫌いなのか~!?』

 その日の晩、食後の酒盛りの最中に酔ったネシンさんが泣きついていた。

 なんかもうナチュラルにメリルもついてくる感じで考えていたのだがよく考えたら馬を仕入れるという目的も果たしていたのだ。

『だから何回も言ってるでしょ?剣も習ってるし自分の身は自分で守れるからついて行くの!ヨーイチに何かあったときマイさんの足として運転できるあたしが居た方がいいでしょ?』

 メリルも引かない、確かに交代で運転できるし助かるんだけど...。

『それに...これ以上無理って思ったらおとなしく引き返すわよ...足手まといにはなりたくないし』

 うん、無理はさせたくないので最悪は俺とマイさんだけになっても構わない、どうせ俺たちは異世界人だからね。

わたくしからもお願い申し上げますわ』

 マリアが言う。

わたくしも運転はおぼえていますが商売と運転しかできません、剣を覚えたメリルさんが居ていただいた方が心強いですわ』

 というマリアに。

『やはりヨーイチさんについて行くつもりなんだね?マリア』

 と、アミダラさんが言う。

『ええ、お父様、ヨーイチ様と過ごしていると過去の満たされない感じがせず男性を求めずに済みますの。

 寝るときにぬくもりをいただくだけで満足なんですのよわたくし

 アミダラさんは涙を流しながら。

『おお!ヨーイチさん!いや!神様仏様ヨーイチ様!ありがとうございます!』

 いやこの世界仏様居るの!?まぁ意訳みたいなもんだろうけども!

『だからといってあきらめてはいませんですことよ?ヨーイチ様いつでもウェルカムですわー!』

「まったく最後で笑わせてくれるな、本当お前は面白いよマリア」

 俺の言葉に。

『いえ、本当の本気ですけれども!』

 と、念押しされた...。

 そのやり取りを真っ赤になりながら見ているマイさんが居た。



 ネシンさんも酔いつぶれたしもう寝るかと思っていた時不意に袖をひっぱられた。

 マイさんか?何か話でもあるのかと引かれるまま庭に出る。

「ヨッチ、さっきの話なんだけど』

 ん?どの話だ?

「マリアっちのウェルカムがどうとかの話!」

 ああ、それか。

「みんなで添い寝とかしてるけどヨッチは誰を選ぶつもり?」

 いきなりの問いに俺はとまどいながら。

「いや誰を選ぶと言われてもこんなおっさんだぞ?ラノベのハーレム主人公じゃあるまいし」

 俺の答えにマイさんは。

「そのラノベの鈍感系みたいになってるから言ってるんだよ?気づいてる?」

 そういわれると辛いところだ、みんな可愛いと思っているし好かれる事はうれしいんだけど...。

「俺はマイさんと違って召喚されたわけじゃないしいつ向こうに戻ったりするかもわからないからね、可愛がりはしても恋愛は怖いな」

 俺は珍しく重めのトーンでそう言った。

「あ」

 ん?どうかしたか?

「ごめんヨッチ、女神様からの伝言一つ言い忘れてたよ」

 伝言?

「魔王を倒してくれたらその後に地球に戻るかここで暮らすか選んでいいって言われたんだけど手伝ってくれるヨッチもその選択をできるようにするって言ってた。

 だから多分途中で急に飛ばされたりはしないんだって」

 なん...だと?

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