第104話 ある日見知らぬ町
『ほほう、これはまたあんまりな言われようじゃの、おいワズマーミ!お主が教えれば良いのではないか?』
あ、アイさん怒ってる。
『ま、まぁ師匠、そんなに怒らないでまずはこの子の適正と魔力量を測定してみてくださいよ』
うわ、オネエ言葉でも強気でもない気を使ってるワズマーミさんとか初めて見るわ、逆にキモい。
『ふむ、お主がそうまで言うなら見てみるかの?これ!モジモジするでない!大人しく...ってなんじゃこりゃぁ!?』
アイさんが驚愕の声を上げて飛びのいた。
『お主...本当に人間か?』
あ、やべえアイさんに説明してなかった。
「あー、アイさん。
その子女神がこの世界に送り込んできた勇者なんだそうな、現実離れした鑑定結果出たかもだけど多分大丈夫だから」
俺がそう言うとアイさんは息をついて。
『そ、それを早く言わんか馬鹿タレ!全属性適正にとんでもない魔力量で上位魔族でもありえない数値だったのじゃぞ?伝説の魔王でも顕現したのかと思うたわい...まぁ伝説の勇者ならば似たようなものかもしれんが...』
ふむ、ちょっと悪い事をしたかな?
「とんでもない魔力量って具体的に言うとどんな感じなんだ?」
俺の問いに。
『普通の呪文なら一日中撃ち続けても枯渇せんじゃろ、禁呪でも魔力だけで3回は撃てそうじゃ』
今度はそう聞いた俺が驚愕する。
「え?禁呪って寿命とか生きてきた時間を代償にしないと使えないって言うアレだよね?」
そう言うとアイさんは。
『そうじゃ、此奴は魔力だけでそれを3回は撃てるじゃろう。
勇者降臨ということは伝説の魔王が生まれ出でたんじゃろう?いいじゃろう、ワシが魔法を教えて進ぜようぞ!』
アイさんはビシィ!っとマイさんを指差して言った。
当のマイさんと言えば。
「ねー、ワズっちの水魔法教えてって言ってるし!」
『いや無視するでないわー!』
アイさんの怒りが爆発した。
『全く!異世界人と言うのはなんでこう失礼なヤツばっかりなんじゃ!』
え?俺も責められてる?
『当たり前じゃ、お主ワシを文字通り生き字引扱いしとるじゃろう』
ナンノコトカナー?
「まぁまぁ、そう言わないでアイさん、彼女には俺からアイさんの凄さをちゃーーんと伝えるから」
俺がそう言うとアイさんは不承不承ながら頷いた。
そこからはマイさんにアイさんが如何に凄いかをワズマーミさんと二人掛かりで説明する。
曰く!ドラゴンも跨...じゃないや一撃で倒す魔法!
曰く!王宮にも認められる魔法研究の腕!
曰く!禁呪の結果王宮魔術師の職を追われ『待てぇぇい!』
アイさんが割って入ってきた。
『お主ら!やっぱりワシを舐めとるじゃろ?あとワズマーミ!お主は後で折檻じゃ』
アイさんに怒られて俺は説明をし直す、ワズマーミさんは端っこで膝を抱えてガタガタ震えてる。
あ、ここの師弟関係も結構ヤバいやつかな?
俺がちゃんと説明をし直してマイさんを見るとなんか俯いて震えてる...笑いを堪えてるのかな?
その瞬間ガバッと顔を上げたマイさんは目にいっぱい涙を溜めて。
「アイちゃん可愛そう!あーしに魔法教えて!あーしが代わりにそのくそ王宮に禁呪を「待てーい!」
俺は慌てて止める。
アイさんの境遇に同情するのは構わんけど物騒な発想はやめていただきたい、王宮に禁呪ぶちかまそうとする勇者とかマジ勘弁だ。
俺が止めたことで物騒な発言をやめたマイさんはアイさんに抱きついてオイオイ泣いている。
『まぁ...悪い娘じゃ無いみたいじゃな、マイよ...お主は素質は化け物じゃがまだ魔法を知らぬ、ワシが持てる全てを教えてやるから精進するのじゃぞ?』
アイさんがそう言うとマイさんは泣きながらガックンガックン頷いていた。
『それにちょっと思い付いた事もある...まずは治癒魔法を覚えるのじゃ』
そう言ってアイさんはニヤリと笑った。
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