第19話 過去、可愛い宣言
大ピンチだ...ジャンプ大ピンチアンパン塩ラーメンほどの大ピンチだ。
いや俺何をいってるんだ混乱しすぎだろう?
知らずにやったとはいえ俺の通訳兼脳内妹のカリンさんがとてもお怒りだ。
脳内で妹認定していたおかげで肉体的接触で不埒な感情を持たなくてよかったと言ったな、あれは諸刃の剣だ、嫌われた?時のダメージが半端ねぇ!
気がつけば俺は土下座をしていた。
『何をしていらっしゃるんです?』
そう問うカリンさんに
「俺の世界の最大級の謝罪です!知らなかった事とはいえ大変失礼をいたしましたー!」
額を地面に擦り付けて謝罪する、この子に嫌われたく無いしここで契約解除とか言われたら俺の異世界生活が終わる。
『わかりました、許してあげます!わざとじゃ無いのはわかっていますけど...私も恥ずかしかったんですからね!』
そう言われて俺はなんとか許してもらった、今度から気をつけよう。
さてゴブリンである、コイツのせいでカリンさんから嫌われかけたんだ、どうしてくれようか...とその時悪魔的発想が頭に浮かんだ。
『トドメは刺さないのですか?』
カリンさんが訪ねる。
「流石に二足歩行の生き物を殺すのは寝覚めが悪いですからね」
とは言ってもコイツを許して解放する気はない、俺が忌避してるのはあくまで自分の手で二足歩行の生き物の命を奪う事なのだから。
「コイツには役に立ってもらいましょう」
そう言いながらロープを取り出した。
俺はゴブリンを縛り上げる、ちょっと興が乗って亀さんの甲羅みたいになっているのはご愛嬌だ。
その間にカリンさんはテント小屋から荷物を取り出すが...ほぼ着替えだけのようだ。
質素な生活してたんだなぁ、お兄ちゃんかわいそうで涙出てくるわ。
準備ができたところでジムニーを停めた場所へ戻る事に、ゴブリンは俺が担いで連行する。
無事駐車場所に戻った俺たちは荷物をジムニーに積み込む、カリンさんの荷物は少ないので後部座席へ。
いちばんの大荷物であるゴブリンはとある結び方でスペアタイヤのステーに縛り吊す。
「準備万端っと」
俺はそう言いながらゴブリンを縛ったロープの端を持ったまま運転席に乗りテンションをかけないようにパワーウィンドウに挟む。
『洋一さんはお強いのですね?』
ジムニーに乗り込みとカリンさんがそう言った。
膝つき一本背負いの事だろうか?あれくらい朝飯前である。
何を隠そう俺は中学時代柔道部だったのだ、え?段持ちかって?黒帯は持っていない。
必死で練習はしていた、けど大会で結果を出せることは無かったし早生まれのため一度だけしか参加できていない昇段試験は初戦で100キロクラスの巨漢に当たったので参加点の0.5点のままだ。
え?弱いじゃんって?そりゃもう弱かったさ、だって中学男子の最低階級が52キロ以下級だったのにどうやっても48キロしかなかったからな。
それでも柔道の理論と体の動かし方はしっかり叩き込んだおかげで高校に入って身長が平均の171センチまで伸びベスト体重が68キロになった頃には喧嘩で負けることはそうそうなくなった。
高校は山岳部だったから柔道自体は続けてなかったけどおかげでこの趣味に出会えたんだよなぁ…アレ?柔道続けてたら俺異世界に飛ばされてなくね?
まぁ現場仕事なので荒っぽいやつもたまに居るけど打撃格闘技と違って柔道ならほどよく制圧できるので重宝がられたもんだ、工具やカッターナイフ振り回す奴には肝を冷やしたけど。
というわけで何のチートも無い俺だが実戦スペックが低いわけではないのだ。
「大した事ありませんよ、人型ならやりようがありますから。」
そう、俺がサーベルピッグやアルミラージが怖かったのは自分の力が通用しそうにないから、もちろん武器などがあれば話は別だけどおれの
「それにあいつはカリンさんを攫おうとしてましたから、そんなの万死に値するでしょう?」
『えっ?』
カリンさんは顔を真っ赤にしてモジモジし始める。
『洋一さんにとって私はそんなに大事なのですか?』
そう聞かれたので
「ええ、貴女は大事な通訳ですしとてもかわいい妹のような存在です」
そう答えると彼女は若干がっかりした顔をした。
そうか、目が見えないカリンさんには俺が40過ぎのおっさんのビジュアルだとわからないのか。
かと思ったらカリンさんはまたモジモジしながら急に爆弾を落としてきた。
『洋一お兄ちゃん…って呼んでいい?』
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