第21話 世界樹の森
みんなが集合した後は何をすることも無く、それぞれ自由時間を過ごしていた。
トウカはベッドのふかふか加減にニヤニヤしながらゴロゴロしており、ジャンヌは家の中で瞑想を行っている。
ジークは外で素振りや筋トレを行い、ランスロットもやらされている。
アーサーは剣や鎧の手入れをしている。
近くの水を飲んだり自由に過ごすこと30分程。
「さて、そろそろ次の事について話そうか。」
アーサーの一声によってみんなが集まる。
「とりあえず、ジーク。報告を頼む。」
「おう!この辺りは森林地帯らしい。付近にはゴブリンやコボルトといった雑魚モンスターぐらいしかいなかった。たまにウルフが出てくる事があったが大した事は無い。大型なモンスターも付近にはいなさそうだったし、この辺りは恐らく安全だ。」
「1回トウカと同じ異邦人を見かけたが話すこともなかったな!ガハハハハハ!」
初めて見るジークの真面目な姿に驚いたが、最後の最後におおごえで笑い始めた。何かの病気かと思ったが、ジークは平常運転だった。安心した。
「そうか、ご苦労。付近には大型モンスターがいないのか…つまらn・・・安心だな。」
その時のアーサーの顔は安心した。と言う顔ではなくもっと戦いたい。と言った感じの顔だった。
「このままここで過ごすのもいいが、それではトウカ様のイベントを楽しめないだろう。折角だ、少し遠出をしようじゃないか。」
「ここに居るみんなは時空魔法が使えるんだ。ここは拠点登録されているからいつでもリターンベースで戻れる。」
「おぉ!それはいいな!ここにはドラゴンもいるんだろ?どうせならドラゴンでも狩ってドラゴン肉で焼肉パーティーでもしようじゃないか!!ガハハハハハ!」
「いいわね!それ!普段じゃなかなか現れないから食べられないのよね。楽しみだわ!」
「トウカちゃんは僕が守るから安心してねぇ。」
「私も食べてみたい!!」
そうしてドラゴンを探しに行く事になった。
ちなみにトウカはランスロットの事をスルーしていたが、ジャンヌは許さなくてボコボコにしていた。
アーサーはアーサーで凶悪な笑顔をしていて少し怖かった。
「それにしてもドラゴンなんてどこにいるんだろ?」
「ふむ…先程の説明から察するに、ここには生態系が成しているのだろう?今は一時的に安全とはいえ、突然現れる事もある。みたいな事も言っていた。つまり、我々の視界に映っていないだけで、そんな遠くでも無いはずだ。」
「それならば!ジャンヌの魔法で探すことも不可能ではないはず。いけるか?」
「まぁ、私を誰だと思ってますの?居るのが分かってるならそれぐらい簡単よ。」
「おぉ!凄いね!さすがジャンヌ!!」
「えへん!」
「それては早速出発しようか。」
「「お「いや待て!」ぉーー!!」」
アーサーの出発の声に気合を入れて返事をしようとしたが、突然ジークに止められる。
「どうしたの?ジーク?」
「まぁ待て。まずは腹が減ったろ?飯にしようじゃないか!トウカ!お前まだダイアウルフの肉持ってるか?」
「あっ、そういえば売ってなかったんだった…」
肉を入手してからある程度時間が立ってしまっているが、そこはゲームである。メニューから外に出す操作をしなければ最初の状態で保たれるのだ。
トウカはゴソゴソとシステム画面を操作し、インベントリの画面からダイアウルフの肉を取り出す。
持っていた肉を5つ全て取り出す。
出てきた肉は1つあたり5キロはありそうな塊だった。
「おっ?なんだトウカ!お前そんなに腹減ってたのか?ガハハハハハ!」
合計25キロほどの肉を出してしまい、お腹が空きすぎて全て食べたいのかと思われたらしい。
「そんな訳ないでしょ!?こんなに食べられないよ!!ジークが食べるかと思って出したの!!」
厳しい言い訳だ。しかし、深く考えないジークはそれを真に受ける。
「おぉ!そうだったのか!せっかくの好意だ!みんなで全部食うぞ!!!」
「まぁ!でも足りるかしら?」
「「「えっ・・・」」」
ジャンヌはかなり食べたいらしく、肉が出た瞬間からヨダレが垂れそうになっていた。
そして、どれだけ食べるつもりなのか、これでも足りないんじゃないかと心配している。
逆に、トウカ、アーサー、ランスロットはそれにドン引きしている。
「よし!それじゃあ、いつもの作るから任せとけ!」
ジークはそう言ってどっからか屋台セットを取り出して素早く下処理から調理まで行う。
手さばきが早すぎてまるで早送りのビデオを見ている感覚だ。
あっという間に下処理が終了し、肉を焼き始める。
そして、ものの数分で焼き上がる。
「おう!出来たぞ!!」
「まだまだ焼いてるからどんどん食えよ!!」
そう言ってジークに肉を手渡される。
「「「「いただきます!」」」」
肉を焼いているジーク以外のみんなで食べる。
味付けは前に食べた時と全く同じでとても美味しかった。
アーサーとジャンヌは上品に食べているのが分かるがランスロットは…以外にもアーサーと同じぐらい上品に食べていた。あの
「もっ、もうお腹いっぱい…。」
美味しくていくらでも食べられそうだったが、さすがに量が多く、1人で5%(1.25キロ)も食べていない。
アーサーとランスロットは大の男という事もあり沢山食べている。
ジークも焼きながら食べているが、この中で一番食べているのは・・・ジャンヌだ…。
あの華奢な体のどこに消えているのか、既に1人で5キロは食べている。
アーサー、ランスロットもお腹がいっぱいになって倒れ込んでいるが、ジークとジャンヌはまだ食べている。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
1時間後
ジークはお腹がいっぱいになり、焼き疲れて眠ってしまっているが、ジャンヌはまだ食べていた。
恐ろしい事に結局ジャンヌは1人で全ての肉を食べてしまった。
彼女1人で食べた量はおよそ10キロを軽く超えているだろう。
「ふぅ。食べた食べた!」
「よし!みんな!お腹膨れたしそろそろ準備するわよ!」
「ごめん、ジャンヌ。私おなかいっぱいで動けない・・・」
「すまないな。私も少し厳しい。」
「うぷっ。僕も無理…。」
さっきまでドラゴン狩るぞ!と張り切っていた人達はどこに行ったのか、ジャンヌを除くみんなはダウン状態である。
「ええええ!!ドラゴン肉・・・食べたい・・・」
ジャンヌはまだ食べる気なのか、ドラゴンの肉を食べたい食べたいとブツブツ言っている。
結局この日はお腹がいっぱいになりすぎて、皆が動けるようになるまでに時間がかかってしい、突然決まったが目当てのドラゴン討伐には行かないのであった…。
こうして、イベント初日は拠点を手に入れて、肉を食べて終わってしまった。
大量の食事を取った後も元気のあったジャンヌは外に出て狩りを楽しんだり、辺りの探索を行っていた。
ジークは眠っていたが数分で起きてジャンヌの後を追って外へと行った。
ちなみに、パーティーを組んでいたトウカにも経験値が入り、何もしていないのに2つもレベルが上がってしまった。
いったいどれだけ暴れたんだろう・・・
手に入れたSPは当然のように全て運に振っている。
さらに、2人は周辺のモンスターを狩りまくったり、勝手に冒険したりしていて、碧玉のオーブも追加で14個も集まってしまった。
周辺にあるモンスターの巣を狩り尽くし、さらに
私の知らない内に攻略されたダンジョンが2つ。
モンスターの巣を3つ全滅させたらしい。
ダンジョンの攻略によって碧玉のオーブがそれぞれ5個ずつ手に入り、合計10個手に入った。
全滅させたゴブリンの巣が2つあり、それぞれの場所で碧玉のオーブが2つ手に入ったらしい。
そして、オークの
これでダンジョン攻略と巣の全滅で手に入った碧玉のオーブは14個となり、この日1日で手に入った碧玉のオーブは合計で20個となった。
ちなみに、暴れ回るジークとジャンヌを目撃した付近のプレイヤーには『なんだコイツら。ヤベぇぞ。』みたいな感じでドン引きされていたが、それはまた別の話である。
「もう!勝手に冒険するなんてずるい!私も着いていけば良かった!!」
トウカは外に行って帰ってきた人には毎回こうやって文句を言っていた。
帰ってきた言葉はそれぞれ
ジーク
「ガハハハハ!」
笑い声だけ。
アーサー
「楽しかったですよ。」ニコッ
モンスター狩りまくって嬉しそうに話す。
ジャンヌ
「あら、だってトウカ、おなかいっぱいって寝てたじゃない。」
と言い返すことの出来ない一言を言われた。
そう、さっき元気のあった2人にはアーサーは入っていなかったが、実は2人が出ていった数分後にはいつの間にか居なくなっていたのだ…。
それぞれ自由に行動する、なんともまぁ協調性の無いパーテイーである。
ちなみに夜ご飯はアーサーが沢山狩ってきたオークの焼肉であった。
昼でさえ25キロあったのに、それ以上の量が出された。
今回は軽く50キロを超えているように見える。
当然のようにみんなダウンしていた。
ジャンヌ以外・・・
(てかアーサー!どんだけ狩ってきたんだよ!!!)
心の中で愚痴るトウカであった。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
そんなこんなで2日目の朝になる。
「よーし!今日こそ冒険しまくるぞー!!」
今日も朝から元気っぱいなトウカ。
朝ごはんもみんなで仲良く、
連日肉ばかりで胃もたれしそうだけど、ゲームだから関係ない。ここぞとばかりに食べまくるが、今日は昨日の二の舞にならないように腹八分目で止めてある。
みんなが食べ終わってもすぐに出発することは無く、少しだけ食休みをする。
・・・・・・午前9時
「それでは出発しようか。」
アーサーのその一言でみんなの気が引き締まり、ワープポイントを使い、外へ出る。
(ただの森だなぁ)
今イベントで初めて外へ出て思った事はこれである。
実際、イベントフィールドとは言っても、様々な地形のある島であり、トウカ達がいるのは森フィールドである。
ここは見渡す限り森が拡がっており、たまに洞窟やモンスターの巣があるだけだ。
「ではジャンヌ。頼むぞ。」
「りょーかい。」
その会話ひとつでジャンヌは
何を言ってるのか分からないが、話したのは恐らく2言3言ぐらいだろう。
ジャンヌの会話はあっという間に終わった。
「場所は分かったわ。この辺りでいちばん強いモンスターは
「
そう言っているが、アーサーの顔には早く戦いたい!楽しみだ!と伝わってくる笑顔が浮かんでいる。
みんなはそれを見て、またか…と言った反応をしていた。
ちなみにトウカはウキウキしていて気づいていない。
「ガハハハハ!
「そうね。とりあえず行きましょう。」
トウカ一行はジャンヌを先頭に
道中に出てくるモンスターはトウカが手を出すこともなく、と言うか反応する前にみんなが倒してしまっている。
(私、何があってもいいように【神聖魔法】のレベル上げして来たんだけどなぁ…)
みんなが頼もしいのは良いのだが、自分が何もしていないし、せっかくスキル上げして来たのに意味が無さそうで少し寂しい気持ちになる。
しかし、そう言った感情は表に出さないため、誰にも気づかれることは無かった。
そしてみんなは
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
1時間後
ようやく
沢山の地形のあるひとつの島という事で、それぞれのフィールドは小さいかなと思ったが、思ったよりも大きかった。
1時間歩き続けてようやく、この森フィールドの端から中心部へと着いたのだ。
「わぁ、おっきい・・・」
「えぇ、すごい景色ね・・・」
「こんな所があったのか、私もここまでの物は初めてだ。」
「「・・・・・・」」
トウカ達が見たもの。
まず、マップに載っている、この森のフィールドの名前は世界樹の森である。
そして今いるのは、その森の中心部だ。
その場所は森ではなく、半径100m程の土地が拓けている。
そして、その中心部にあるもの。
高さが100mを超えていそうな大きな木であった。
幹も10mはありそうな程太い。
「これが…世界樹…。」
その大きな木はマップに載っている名の通り、世界樹である。
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碧玉のオーブ 現在20個
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