第9話 喫茶店

よーし!戻ってきたぞ!この世界に!


さてと・・・

まずは、紗希のフレンド登録しないとね!

えーっと、たしかメニューを開いて、フレンドをタップして…

おっ、これか。

「フレンドを追加する」を押す。

するとフレンドコードを入力してくださいと出てきた。


こっからさっきの番号を入力したらいいんだね!

大丈夫!ちゃんと覚えてるよ!!


・・・入力完了っと!

プレイヤー名「レア」にフレンドリクエストを送信しました。

って出てきたけど、この後どうしたらいいんだろ?


そうしてとりあえず移動しようと思った時、目の前にシステム画面が現れる。


____________________


プレイヤー名「レア」にパーティーに招待されています。

参加しますか?


      はい      いいえ


____________________


とりあえず「はい」を選択する。


すると、どこからか紗希の声が聞こえてきた。


「冬華〜?今どこにいるのー?」


辺りを見渡してみるが紗希は見当たらない。

「えっ、紗希?どこにいるの?」


「うちは、この世界に最初に出てきた場所あったでしょ?そこの噴水のところにいるよ。」


んんんんん?

何でそこにいるのに声が聞こえるんだろ。


「わかったー、でも何で声が聞こえるの?」


「あれ、知らないの?じゃあその辺の事も話すからとりあえず合流しよう。」


「了解!」


そうやって短い会話を終わらせてトウカは噴水のところにマップを見ながら向かう。


途中、道に迷いそうになったけど、無事にたどりつけた。


そして、紗希を探すために周りを見る。

しかし、人が多すぎてどこにいるか分からない。

そして立ち尽くしてしまう。


その数秒後、突然後ろから手が回され目元を隠される。

「だーれだ?」


そう声が聞こえる。


私は、こんな事をする人は1人しか知らない。


「紗希でしょ!!」


「せいかーい!だけど、この世界ではレアって名前だからね。リアルの名前を出さないこと!身バレの危険性があるからね。」


「はーい気をつけまーす。」


そういうとレアにジト目で見られる。

「返事軽いけど、ちゃんとわかってる?」


「大丈夫!大丈夫!」


「まぁ、わかってるならいいけど。」


そうしてレアのことを見てみる。レアもトウカと同じように外見はほとんど変えていないみたいだ。

変わっているのは髪と目の色と耳の形だ。

髪の色はブロンドで、目の色は水色のようなグレーのような色だ。

レアは元の顔が鼻がスっと高いため、その色はとてもよく似合っている。耳に関しては種族が関係しているらしい。

2人とも、元が整っているため外見を変更する必要は感じさせない。



「ここじゃ人が多くてのんびり出来ないから、とりあえず場所を移動しよう。」


「うん!でもどこに行くの?外?」


そう言うとレアに笑われる。

「外じゃないよ。静かで美味しいお店を知ってるからそこに向かうの。」


「へー!お店なんてあるんだね!知らなかったよ!」


そうしてトウカはレアについて行く。



・・・・・・数分後・・・・・・



2人はレアのおすすめのお店に着いた。


「おー!なかなかオシャレなお店だね!」


そのお店はこじんまりとしており、アンティークな雰囲気のある、隠れた名店と言った感じの喫茶店だった。


2人は喫茶店に入っていく。

するとかわいいウェイトレスさんが迎えてくれた。


「2名様ですか?」


「はい。」


「お好きな席にどうぞ。」


そうして2人は窓際1番奥のテーブル席へと座る。

すると、すぐに水とおしぼりが置かれる。


おぉ!リアルの喫茶店とほとんど変わらないね!


「ご注文がお決まりになりましたら、お呼びください。」


そう言ってウェイトレスさんは先程の場所に戻る。


「いい感じのお店だね!」


「そうでしょう。雰囲気だけじゃなくて食べ物も飲み物も美味しいんだよ。」


「レアは何を頼むの?」


「うちは・・・いつも通りケーキセットかな。」

「ケーキセットは好きなケーキと飲み物が1つずつ選べて値段も580Gと手頃なんだよね。」


「じゃあ私もそれにする!ケーキはいちごのショートケーキで、飲み物はアイスレモンティーかな」


「じゃあ決まりだね。すみませーん!」


レアがあまり大きくは無い声で呼ぶと、先程のウェイトレスさんがやってくる。


「ケーキセット2つ下さい。1つはいちごのショートケーキとアイスレモンティーで、もう1つはレアチーズケーキとアールグレイを下さい。」


「かしこましました。」


そうしてウェイトレスさんは中坊の方へと消えていく。


少し待つのかなぁ?

そう思ったがウェイトレスさんはすぐに戻ってきた。


「お待たせ致しました。ケーキセット2つになります。」


「「ありがとうございます。」」


ケーキセットがテーブルに並べられる。

カットケーキではあるが、思ってたよりもサイズ感があり、とても美味しそうだ。


「おぉー!美味しそう!」

「いただきまーす!」


そう言ってケーキを食べだすトウカとレア。

2人とも美味しそうに食べて満足そうだ。

そして食べながら話しを始める。


「そうだ、さっきレアは近くに居なかったのに、声が聞こえたのはなんでなの?」


「あぁ、それはパーティーチャットって言ってパーティーを組んでる人同士は離れていても伝えたいと思いながら話すと声が聞こえるんだよ。」

「フレンド同士でもフレンドチャットってのがあるから出来るよ。そして、その時に声に出しても周りの人には聞こえないから秘密の事とかも安心して話せるからね。」

「これから、うちらが話す事は知られたくないから丁度良かったよ。」


「なるほどー、そういうのがあるんだね。」


「そうだよ。それで、トウカから何か聞きたいこととかある?」


「んー、何したらいいか分からないし、何聞いたらいいのかも分からない!」


「そう・・・。じゃあトウカはこの世界では今まで何してきたの?」


「まだ少ししかやってないし、街をぐるっと回って、ジークと森に行って大きな狼倒して、ギルドランクが上がっただけだよ?」


「そのおっきな狼ってフィールドボスのダイアウルフだよね?ワールドアナウンスで初討伐の名前がトウカって出てたし、もしかしたらと思ったけど。しかもそのレアドロップの装備してるし・・・」

「まだ初日だったし、レベル的に倒せた人は他にはまいないんだよ?」


「そうだよー。可愛いでしょ!なんか寝てたからナイフ投げたら1発で終わっちゃった。」


「はい!?1発!?」

「ちょっと!どういう事か説明してよ!ていうかステータス見せて!!」


そう言われたのでステータスを見せる。



____________________




名前 トウカ

 種族 天翼族☆1

  Lv 12

 HP 1380/1380 MP800/800

 STR 5 VIT 0

 INT 0 RES 0

 DEX 0 AGI 10

 LUC 290

 残りSP0


 ATK 681  DEF 780

 MATK 480 MDEF 480


加護

女神フォルトゥーナの加護

LUCの数値を2倍にする



スキル

固有スキル

【飛行Lv1】

【天撃Lv1】

【神聖魔法Lv1】


パッシブスキル

【幸運強化Lv6】

【投擲術Lv5】


アクティブスキル

【鑑定Lv6】

【召喚術Lv1】

【時空魔法Lv1】


装備

初心者のナイフ☆1 攻撃力+5

ダイアウルフの剣☆2 攻撃力+30 STR+5

ダイアウルフ兜☆2 防御力+10 AGI+2

ダイアウルフ軽鎧☆2 防御力+20 AGI+2

ダイアウルフ篭手☆2 防御力+10 AGI+2

ダイアウルフ腰☆2 防御力+10 AGI+2

ダイアウルフ靴☆2 防御力+10 AGI+2


所持金

33440G



称号

『友愛を築く者』

住人からの好感度が上がりやすくなる。


『一撃必殺』

最初の一撃のダメージが5倍になる。


『下克上』

格上の敵と戦う時、全ステータスに10%の補正が入る。


『生命の力』

HPが最大の時に与えるダメージ量が10%増加する。


『ジャイアントキリング』

レベル差による威力減衰を受けなくなる。



____________________



するとレアは何故か頭を抱える。


「どうしたの?」


「いや、どうしたもこうしたも、色々突っ込みたいところあるけど、とりあえずステータスおかしいよね!?」

「最初から思ってたけど、なんか翼生えてて種族も見た事ないものだし、能力値もなんで効果のよく分からない運極振りなの!?加護もそうだし、極めつけはベータやってた、うちでさえ知らない称号多すぎでしょ!!」


基本的にクールなキャラで中々叫ぶ事の無いレアが叫んだ事に戸惑うトウカ。

「えっ?なに?私のステータスなんかおかしいの??」


「まず、その種族は何?能力値も振って無いはずなのに色々高すぎだよね。」


「キャラメイクの時に先に能力値を全部LUCに振ったら女神様に気に入られて加護が貰えたよ。その後に種族をランダムにしたらこうなった!女神様も大当たりの種族って言ってたよ!」


「あぁ、やっぱり・・・

てか先に能力値振るなんて出来たんだね・・・」

「加護についてはベータの時にも貰ってた人が居たし、うちも貰ってるからいいけど。能力値はどうせ、普段運がないから、この世界では運の良い世界を楽しみたいとかそんなもんでしょ?」

「極振り自体は私もしてるし、なんも言えないけど。」


「さすが私の幼馴染!よくわかってるね!」


いつもの事だがどっと疲れてしまってため息を吐くレア。

「はぁ・・・。あと、称号はどうしたの?手軽な称号とかは情報公開されてるし、『一撃必殺』と『生命の力』と『下克上』は私も持ってるけど、他の称号は見た事ないんだけど。」


トウカは称号『友愛を築く者』と『ジャイアントキリング』の取得条件について説明する。


「なるほど、『友愛を築く者』は1人しか手に入れられないユニーク称号で、もうひとつは今のうちに頑張って取得するしかないかなぁ。レベル上がるにつれて敵も強くなるし1人で撃破はかなり厳しくなりそうだからね。」


「そんな簡単に出来るの?」


「んー、まぁ私は防御を捨てた魔法による完全火力特化だし、加護も称号もあるから何とかなるかも?」

「『ジャイアントキリング』の効果とかかなり強いじゃん。今のうちにゲットしないと、いつ手に入るか分からないからね。」

「あとトウカ。称号については他の人に教えないようにね。掲示板や攻略サイトで公開されてる様なものはいいけど、秘匿してる人も多いし、他の人よりも強くなれるからね。」


「了解!」


そうして2人はケーキを楽しみつつ雑談に花を咲かせる。

それから話が終わったのは2時間後のことである。

さすが女子高生。


2人はお金を支払い店から出る。


「ふー、美味しかったー!」


「そうだね。この世界ならいくら食べても太らないから、また一緒に来ようね。」


「うん!このあとどうする?」


「うちはレベル上げてからこの町周辺の全てのフィールドボスを倒してSPを手に入れるつもりだったけど、さっき言ってたように称号『ジャイアントキリング』を入手するために何かのフィールドボスをソロ討伐しようかなって思ってるよ。」


「なるほど、フィールドボスは沢山いるの?」


「ベータ時代の情報だけど、街の東側と西側にある計2つのフィールドにそれぞれ一体ずついるはずだよ。」


「そうなんだ!じゃあ私はフィールドボスと戦おうかな〜」


「じゃあこの後は別行動だね。」

「また後でメールか電話するよ。」


「わかった!じゃあまたねー」


「うん、またね。」


そうして2人はパーティーを解散し別行動をすることになった。



____________________


所持金

32860G

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