目だ覚めると
ひんやりとした固い感触
「・・・・ん・・・あ?」
私は気が付いて体を起こしながら少し頭痛がする頭を振ります。
そしてゆっくりと眼を開けると足に鉄の枷がはめられていのが見える。
鎖でつながれてはいませんので動けないということもなく、重さはそれほどでもありませんが左腕が鈍く痛みます。
その痛みで私は気を失う前の事を思い出しました。
どうやら気を失った後にここに連れてこられたようです。
ナイフに毒の類があったのでしょう
腕の傷口のナイフは抜かれていて腕に伝っている血は乾いているようです。
とりあえず遅いかもしれませんが服の一部をちぎって傷口にあてがっておきましょう。
「ここは?」
傷口を布で縛ったあとに、私はぐるりと周りを見る。
目の前には鉄格子、周りの壁は石レンガが積みあがっているので、どうやら地下牢のような場所ですね。
私の恰好と周りの状況からして私は捕まってしまったようです。
「・・・まじですか」
えっと・・・どうしましょう
頑張って逃げたのに結局捕まってしまいました
持ち物は・・・お土産と着替えを入れていた袋はありませんが、服の中に入れていたお金が入っている袋はありました。
・・・なぜでしょうか?
まぁこの袋は他の人が使ってもただの小さな空の袋なので放置されたのだとおもいます。
鉄格子に近づいて見える範囲で鉄格子の外を見る鉄格子の向こう、手の届かない距離に蝋燭が立てかけられていて、こちらを照らしています。
状況は理解しきれていませんけどまずはここから出ましょう。そう考えているとコツコツとこちらに歩いてくる足音が聞こえます。
ガチャと音がして金属が軋む音がして足音が大きくなりました。
どうやらここからでは見えない所に扉があるようですね
「おや、目が覚めましたか」
そう言って恰幅のよい男の人が護衛らしき人を連れて入ってきました。
「あの、ここはどこでしょうか?」
多分私をここに連れてきた人たちのボス的な方だと思うので丁寧に話しかけます。挑発していいことはありませんから
どんな時でも情報収集は大事です。
「そんな演技は通用しない」
男の人はフンと鼻で笑って
「私の部下を7人相手取り、全員を気絶させるような猛者なのだ。大方油断させるのが目的なのであろうがそうはいかない」
そう言ってこちらを睨む
いえ、これが素なのですが・・・
別に普通の人とは違う力を持っていても仕事で以外はイキリたくないですし仕事のイキリもわざとやっているだけで本当はやりたくないんです。
「その足枷は特別製でな魔法を封じることのできる足枷だ。無駄な抵抗は辞めろ」
こちらを警戒しているようで足枷についてくれました。
魔法を封じる足枷と言うことですので、帰還用の合図魔法が使えませんね
「あの私はこれからどうなるのでしょうか?」
取り合えず情報は多い方がいいので話を続けます
「まだ演技を続けるか・・・まぁいい、これからどうなるかだったな?さぁな、俺達はお前さんをさらうように言われただけだから、これからどうなるのかは俺達にも知らん」
「そんな・・・」
「恨むんだったら貴族様に関係を持ってしまった自分を恨むんだな」
そう言って男の人は去って行きました
貴族様というと思いつくのはフレアさん達ですね。多分ですがフレアさんと敵対している人が黒幕でしょうか?
どちらにしてもここから脱出するのは変わりませんね。
しばらくして足音が聞こえなくなったので行動を開始します。
鉄格子には出入りのための扉があります。
その扉は南京錠で閉められていますが手が届くのなら壊せます。
私は服を脱いで南京錠を服で包み音があまり響かないようにしてから上方向に引っ張りました。
少しした後にバキィと音がして南京錠が壊れたので、私は大きな音を立てないようにゆっくり格子の扉を開けて格子の外に出ました。
格子の外は右側が行き止まりで左側が直角に曲がっており道が続いているます。そちらの方に歩いて角の向こうを覗くと少し先に扉がありました。
人はいませんが扉の向こうに人がいるかもしれません。
取り合えずの目標を決めましょう。まずはこの足枷のカギを探さないとですね。
帰還方法は帰還用の合図の呪文詠唱しかできません
転移課はその合図を基に私の位置を特定して転移させますので、向こうから転移してくると言うことはありません。
なのでどうにか足枷を外さないといけないですね
次にここから脱出ですね。ここで詠唱出来ればいいのですがここは敵の只中、詠唱する時間を与えてくれるとは限りません
出来れば脱出して安全を確保した方がいいと思います。
そのためにはこの建物の外に出るようにしないとですね
「よし」
目的は決まったので動きましょう
まずは扉の向こう側を確認しよう
そう思って扉に近づいて耳を当てて向こう側を聞きましたが、特に物音はしませんでした。
私はドアに鍵がかかっていないことを確認して少し開けて外の様子を伺います
ドアの横に見張りの人はいないようで安心しました。
いたらここから出ようとするのがばれてしまいますから
とりあえずドアから見える範囲には人は見えないので次は反対側ですね。私はドアをもう少し開いて反対側を見ようと体をドアから出しました
「・・・・」
「・・・・え?」
反対側を見ようと顔を反対側に振り向くと、目の前にガラの悪い細い男の人がいました
あまりに突然の出来事過ぎて反応できずにお互いを見つめあうこと数秒、先に動いたのは男の人の方でした。
男は目を見開いた後に息をスゥと吸って声を出そうとしました
そのことに気が付いた私も我に返り、男が声を出す前に右ストレートを顔に叩きこみました
「ブア・・・・」
男は少し吹っ飛んだ後に倒れこみました・・・・
「・・・・ふう、危ない」
とりあえずバレていないようなので、今のうちに男の人を隠しましょう
私は男の人を抱えて自分の牢屋に戻りました
「・・・・うーん、とりあえずはこれでいいかな?」
牢屋の中に戻った後に男の人の来ていた服で縛り上げました。ただ轡の分の服がなかったので私の服をちぎって轡にしました。
ついでに足枷のカギを持ってないかなと淡い期待を胸に服を漁った結果、カギはありましたけど足枷のカギではありませんでした。
一応持っておきましょう、何か役に立つかもしれませんし
さて・・・行動再開です
私は改めてドアの外を確認して誰もいないことを確認した後に廊下を静かに走り出しました。
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