第三章
第78話 フレインという人物
「大罪人、フレイン=リフレリア。四代魔法を極めた最初の魔法使い。一人での火力は少国家の軍事力に匹敵します。それに炎の神イフリート、水の神ウンディーネ、風の神テスカトリポカ、そして土の神エンキ、四大魔法の頂点の神の力を借りるどころか、使役している。大罪人といえど捕まえるのは不可能だ。だがやつには弱みがある。我が王よ、フレインを我が軍に協力させ、他国の領土を奪いにいきましょう」
「うむ、やつが味方になれば我が国もより一層拡大できるというものだ。して、その弱みとはなんだ?」
「リフレリア家は魔術を一子相伝していく中で非常に短命になりました。フレインの家族もその影響で死んでいます。だが所詮やつは子供です。耐えられるはずがありません。そこをつきます」
「肉体も消滅しているんだろう? どうやって生き返らせるというのだ?」
「国人十万人を生贄として、あの世から召喚します。それだけの価値があるかと」
「ふむ、ただその小娘には生贄がいたことを悟られないようにな。良心で発狂してもつまらん」
「はい、幸いといえばいいのでしょうか、今我が国の【シュバイン】は隣国と交戦状態であります。十万人くらい減っても怪しまれることはあるでしょうが、明るみになることはないかと。戦争の犠牲者として計上すれば問題ありません」
「うむ、期待しているぞ。で、やつがどこにいるか検討がついているのか?」
「はい、魔都シュッツァガートにフレインの協力者がいるという情報が部下から入りました。聖セントリア魔法大学で干渉されないように結界をはり、潜伏している模様です」
「そうか、なら今すぐ捕獲に向かわせ得るがいい。交渉材料さえあればこちらにも分がある」
「そう言うと思ってましたので、すでに向かわせております」
「そうか、ならあとは任せたぞ」
「はい」
「さて、どうすっかな」
俺とアスティと僧侶の三人でエルフの村を抜け、森の中を歩いていた。
「旅と言ってもどこに行ったらいいか分からないですもんね」
確かにアスティの言うとおりだ。
「魔王討伐くらいの目的があったらいいのに」
「そんな遠足行くみたいに言われえても」
「私みたいに他に誘いたい人っていないんですか?」
「いるな、魔法使いだ」
「随分漠然としていますね」
確かに魔法使いでは伝わらないだろう。
「フレイン=リフレリアだ」
「それ私の元パーティですよ!」
「モルさん、それ私もです!」
「知ってる」
「ええ……反応うっすい」
「もう説明するのも疲れたんだが、お前ら俺の元パーティで、禁術使ったら記憶なくなっったんだよ俺の。元はといえば僧侶が教えた禁術だからな」
「確かに禁術はいくつか知っていますが……本当ですか?」
「嘘だったらお前をそもそも救ってないわ」
「確かにそうですね……なるほど、それで……」
「納得してくれて何よりだ。このアホの子は信じてくれなかったからな」
「今でも新手のナンパだと思ってます」
もうこいつを納得させるのは不可能な気がする。俺は諦めた。
「で話は戻すが、魔法使いもパーティに入れたいんだよね」
「でも居場所がわかりませんよ?」
確かに僧侶の言うとおりだ。だがあてはある。
「魔都シュッツァガートに行こう、なにか痕跡が残っているかもしれない」
「私もアスティさんもお尋ね者なんですが、捕まりますよ?」
「化粧しろ。別人になれ」
「無茶を言いますね……」
そんなことを話しているとアスティがなにかを思いついたように口を開いた。
「私は形態変化で顔を変えれば問題なさそうです!」
「整形方法がゴリ押しすぎる……」
「じゃあまあそんな感じでよろしく」
「はい!」
「私のリスクがでかすぎる気が……」
「まあなんとかなるだろ!」
こうして俺たちは再び魔都シュッツァガートへと旅立った。
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