第58話 君と買い出し

 結局、俺と美桜、昌子そして桃子の四人で食材を買いに行くことになった。秋山達も同行したいと言ったのだが、強制的にバーベキューの機器の準備をする事を命じられた。二人はかなりの不満そうな顔で俺を睨みつけた。別に変わってやってもいいのだが・・・・・・。

 桃子がピンクのビキニの上に白いパーカーを羽織っている。白いパーカーの上から少しすける水着に少し目のやり場に困る。昌子が黄色のこれまたビキニ。薄手のシャツを上に着ているが前のボタンをはずして前で軽く結んでいる。これまた、直視する事を躊躇してしまう。美桜は白いワンピースを着ているが上から少し裾が長めのウィンドブレーカー。かろうじて俺の視線が落ち着く場所を見つけた。


「なんですか・・・・・・、なんか私に付いてますか」美桜は恥ずかしそうに頬を染める。別に見つめる気持ちは無いのであるが、他の二人の格好があまりにも過激なので、比較的普通に近い彼女を見ているなどとは言えない。


「あ、ごめん・・・・・・・」


「なになに。私達が眼中にないってか!?」昌子がお道化たように呟いた。お前らがそんな恰好をしてくるからだろうと心の中で言い返す。案の定、すれ違う男達の視線が彼女達に釘付け状態で、中にはそれを見て怒った女の子と喧嘩になるカップルもいるほどであった。


「ちょっと昌子さん、気合入れすぎじゃないですか?」桃子が目を細めながら横目で昌子の体を上から下まで見る。


「あら、そういう桃子ちゃんだって結構なものじゃないの」昌子も負けないように桃子の体を見る。二人はバチバチと火花を散らすように睨みあっている。どんな戦いやねん。


「亮ちゃんはどんなのが好きなの?」突然、振ってくる。


「いや・・・・・・・、俺は・・・・・・・」なぜか俺の上着の腕の辺りを引っ張られる、それは美桜が掴んだものであった。


「あっ!MIONさんズルい!」桃子はそう言うと俺の腕に絡みついてくる。


「私も!」昌子が反対の腕に胸を押し当てる。こいつらモテない男をからかってそんなに面白いんがと腹が立ってくる。


「ちょっといい加減にしろよ!美桜ちゃん、行こう!」俺は彼女の手を握り、近くのスーパーへと走っていく。


「えっ!?」美桜は突然の俺の行動に驚いたようであった。彼女には申し訳ないが、あのような蛇の生殺しのような地獄はご勘弁であった。


「ちょっと、まちなさいよ!」残された二人は俺達の後を追いかけて走ってくる。なんだかその雰囲気が面白くなって大声で笑ってしまった。まるで鬼ごっこでもするように俺達がはしゃいだ。彼女達も楽しそうであった。


 しばらく他愛にないやり取りを終えてから、とりあえず目的の食材を購入し俺達はバーベキューの場所に戻ったのであった。


「なんだか、お前だけ楽しそうだな・・・・・・・」大森が恨めしそうな顔をして俺を一瞥いちべつをくれたのだった。

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