第14話 引き継がれる瞳


 「なぁ、美桜、PTSDで寝られなかった頃より、はるかに寝られないんだけれど」

 「しょうがないじゃない。美岬が元気な証拠よ。

 あれっ、おむつ終わってる。押し入れから取ってくるから、ちょっとだけ抱いていて」

 「ちょっとだけ、じゃなくていいぞ」

 「あなたが抱いていると、赤ちゃんを捕食している熊みたいに見えるのよ」

 「ひどいな。僕だって、傷つくんだぞ」


 美桜はその言葉を完全にスルーしておむつを取ってくると、てきぱきと交換し、そのまま抱き上げる。

 「あれっ、目が開いた。初めて目が開いたよ!」

 「えっ、本当!?」

 初めて開いた赤ん坊の目は、まだ表情もなく、焦点も合ってはいない。ただ、その瞳の中にはきらきらとした青い輝きが宿されていた。

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