7.どんな休日をお過ごしですか?
PM1:10。昨日は明け方までFORKをやってしまった。
今日が休みだからと羽目を外してしまった。仕事終わりにオールしたのなんて何年ぶりだ? ダルさの残る頭で考えるが、割とどうでもいいことだった。
顔を洗って部屋を見渡す。
「汚いな」
汚しているつもりはないが、生活感が出ていると言えばいいのか。どこか雑さが部屋のあちこちに現れている。自分が過ごすだけの部屋だったので、特段気にしたことがなかったが改めてみるとだいぶ掃除していない気がする。
「やるか」
呟いてみるものの、スマホを手に取っていた。誰か配信していないかとFORKを開くと、古美さんが配信していた。
「まじか」
なんとなく聞き専だと思っていたけど、古美さんも配信するのか。ちょっとわくわくして配信に入ってみた。
只野人間
「おはようございます」
『おはようございます…? 只野さん、もしかして今起きたんですか? ねぼすけさんですね』
「えぇ!?」
幼い。圧倒的に幼い。声から伝わる若さに驚いてしまった。
呉井心
「只野さん今起きたの?w ハロハロー!」
只野人間
「えっ。めっちゃ若くないですか」
『あーまぁ、はい。僕、中学生なんですよ。皆さん年上の方なんで、敬語使ってるだけなんですけど、なんかよく年上に思われるんですよね』
「まーじか」
ネットとはわからないものだ。俺も古美さんは多分年上だろうと思っていた。あまりの衝撃に、だいぶ目が覚めた。
ねぐせ君
「古美さんの配信来るとびっくりするっすよね~」
ぴゑんマン
「若々しい声にこちらも若返るようだヨ!」
『まぁ、年のことはいいじゃないですか。それで、只野さんは今日のお休みは何をされるんですか?』
只野人間
「あ、はい。今日は部屋の掃除をしようと思っています」
『おお~、お昼すぎに起きてもやっぱりなんかちゃんとしてますね~』
呉井心
「オレは掃除なんてしたことない!」
いちご
「不潔」
児島
「まだ大掃除の時期までは半年あるし…」
『じゃぁきっと潜って配信聞いてくれる感じですね。皆さんと何かおしゃべりしてますんで、只野さん、お掃除頑張ってください』
只野人間
「ありがとうございます」
いちご
「がんばってくださーい」
ねぐせ君
「ファイトですよ~」
思わず笑みがこぼれた。どこの誰だか分からないのに、年齢も性別も様々だけど、こうやって応援してくれるのは嬉しい。古美さんだけじゃなく、リスナーで来ているみんなにも応援してもらったんだ。これは部屋をピカピカにするしかない。
「よっし、やるか」
気合いの一言を呟いた。さっきと似たような言葉だったけど、全然違っていたのが自分でわかった。別に見られてるわけじゃないのに、気が引き締まる。
配信では古美さんが休日の予定をみんなに聞いている。これから出かける人、一日ゴロゴロする人、学校の課題に取り組む人、思い思いに休日を満喫しているようだ。
当たり前のことだが、色んな人がこうやって日曜日を過ごしているんだなぁと感じる。自分一人だけの休日ではない感覚が、配信を聞いていると確かにあってなんだか嬉しい。
途中途中で配信に参加して、進捗を伝えた。思いのほか時間がかかったが、生まれ変わった部屋に満足した。
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