611.サボテンコースは続く

 もっきゅもっきゅ……。

 前菜を食べ終わると、すぐに次のメニューに移る。


「次はスープだな。ハーブを効かせた豆のスープ、サボテンのスライスを添えて……だな」


 ヴィクター兄さんが羽をぴこぴこさせると、スープボウルが運ばれてきた。


 薄い黄色の豆、それに黄金色のスープ……!

 ところどころに葉の欠片が浮いているが、これがハーブか。おいしそうだな。


「ぴよ! おいしそーぴよねー!」

「シェフからだが、ハーブを口に含みながらお飲みください――とのことだ」

「わふぅ。優雅な味わい方なんだぞー」


 というわけで、おすすめに従ってスープを飲んでみる……スプーンにスープをすくって……熱くなさそうなのが救いだな。


 ぐむっとくちばしの奥に入れて、ゆっくり味わう。


 おおっ……!


 まったりとした味わいがうまい。

 豆もほどよく旨味が染み込んでいた。


「ウゴ、ハーブと一緒に飲むと爽やかだね!」

「ぴよ! 豆もおいしーぴよ!」


 ちなみにナナは豆入りトマトスープを飲んでいた。

 レイアも頷きながら味わっている。


「ハーブと豆がいい味出してますね……」

「わふ。このハーブ……村の近くにあった気がするんだぞ」

「ぴよ! マルちゃんはよく気がつくぴよね!」


 なでなでー。ディアがマルコシアスの頭を撫でる。

 マルコシアスは気持ち良さそうに目を細めた。


 続いて次のメニューがやってくる。


「次は……淡水貝のサボテンの蜜ソースがけだな。ちょっと薄味らしいので、不足の場合は備え付けの香辛料を足して欲しいらしい」

「珍しいですね、コース料理でこちらが味付けできるのは……」


 俺もこちらの世界で知ったが、コース料理では調味料の余地はないのが普通だ。

 ソースや香辛料を足したりできるのは珍しい。


「そこは特別らしい」

「なるほど……まぁ、食べてみよう」


 すでに淡水貝はカットされているので、大丈夫そうだな。


「ぴよ……。ホタテっぽいぴよね」

「白くて肉厚で、そうですね」

「うむ、マルデホタテ貝の養殖種らしい」

「わふ! ウチと同じなんだぞ」

「ウゴ、でもちょっと薄い……かな?」

「そうだな、少し違いはあるようだ……」


 俺はひょいとそのマルデホタテ貝を口に運ぶ……。


 んむんむ……っ!


 これはアレだな。固いパンケーキにメイプルシロップかけた感じだ……!

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