609.夜食はどうする?

 ヴィクター兄さんがもろもろの用意があると言って、広間を出ていった。


「ぴよ……ぴよ……」(すや……むにゃ……)


 外はかなりうるさいが、砂ぴよは( ˘ω˘)スヤァしている。やはり砂嵐には慣れているようだな。


「学会はどうなるんだろうな」

「気になりますね……。そこが本題でしたが」


 ナナは広間の床に寝転がり、リラックスしている。


「一応、参加者はほぼ揃っているみたいだけどね」


 トマトジュースをストローで飲み飲み、優雅な雰囲気だな。


「設営は予定通りのようですし、明日からスタートではないかと……」


 レイアはナナの隣でスケッチをしている。熱心に砂ぴよを描いているみたいだ。


「ぴよよー、砂嵐終わらないぴよねー」

「だっぞだぞー」

「ウゴ、雷も落ちてるー」


 子どもたちが窓から離れて、俺たちのところにやってきた。


「ぴよ! ただいま戻ったぴよよ!」

「戻ったんだぞー」

「おかえりなさいです……!」

「おかえり、窓の外はどうだった?」

「ウゴ、すごい砂嵐だった……!」

「やばぴよね……!!」

「でもレアな光景だったんだぞ」

「生の雷を初めて見たぴよ」


 そこでステラが軽く身を乗り出す。


「雷には気をつけてくださいね。当たるとビリッときますから……!」

「それで済んでいるのがスゴイな……」

「わふぅ。母上ぱわーなんだぞ」


 わいわい話していると、やがてヴィクター兄さんが広間に戻ってきた。


「ふむふむ……」

「どうかしたのか、コカ博士?」

「学会は予定通りだが、晩餐会は中止だな。城下町の人を一部収容しているようだ」

「ぴよ。避難してるぴよね」

「うむ。その代わり、食事は豪華なものを支給するらしい。リクエストはあるか?」


 なるほど、そういう流れになったか……。

 しかしウチの家族だと好きなものは決まっているな。


「果物と野菜でいいか?」

「ぴよー! お野菜大好きぴよー!」

「わふ! 異存なしなんだぞ!」

「ウゴ、俺も平気!」

「もちろんわたしもそれで……!」


 すっかりお野菜生活に馴染んでいるな。

 もちろんハムとかチーズくらいは俺も食べるが、圧倒的に野菜や果物の割合が多い。


「僕はトマトで。フルトマトで」

「私はおまかせで……!」


 ナナとレイアもヴィクター兄さんに要望を伝える。


 聞き終えたヴィクター兄さんは羽をぴこぴこ動かした。


「わかった。ここの名産はサボテンだからな。サボテンフルコースを用意してもらおう」

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