499.家族の話し合い

 夕方、ステラと一緒に家に帰る。

 事務仕事はちゃんと回っているな。やはり都度、組織を強化したのが効いている。


 ぽかぽか、黄昏時でも暖かい。

 もう厚手は必要なかった。


「エルト様、ちょっとよろしいですか?」

「ん? どうかしたのか?」

「いえ、今日家に一度戻ったとき……ディアから話がありまして――」


 ふむふむ。

 俺は頷きながら、それを聞く。


「帰ったときに、改めて話があると思いますが……」

「俺はいいことだと思うが……ステラはどう思う?」


 さぐりさぐり……。

 そうなってしまうのは、仕方ない。


 家族のことだしな。

 ちゃんと擦り合わせなければ、いけないのだ。


「わたしもいいことだと思います。ある意味、人生は何を求めるかの話ですから」


 冒険者になったステラが言うと重みがある。


 実際、その通りだろう。

 人生は何を求め得られたかの連続である。


「じゃあ、ディアにぴよ服をプレゼントということで……!」

「うん、そうしよう」


 ステラがうんうんと頷く。


「あとはウッドとマルちゃんも――ですね」

「まぁ、ウッドとマルコシアスはやってくれるだろう……多分。ただ、ウッドはサイズ的にはかなりデカいし、準備には時間がかかるかもだが……」

「そうですね。反対にマルちゃんは二足歩行形態のぴよ服であれば、すぐに用意できそうです」


 二足歩行形態……。


 俺的には少女姿なんだが……ステラの認識はそうなのか。


 ◇


 その後、家に帰るとすでにウッドも帰宅していた。

 リビングで家族集まって、まったりの時間だな。


 ……なんだかそわそわしてしまう。不審がられないようにしないとな。


 そして気を付けて見ていると、ディアもそわそわしている。

 それをマルコシアスとウッドが気遣っているように見えるな。

 きっとウッドにはもう話したんだろう。


「ぴよ……!」


 ディアが意を決して俺のほうに歩いてくる。

 スケッチ帳を持って、とことこ……。

 かわいい。


「とうさま、ちょっといいぴよ?」

「ああ、なんだ?」

「実は――あたし、こういうのが欲しいぴよっ!」


 ばーん!

 ディアがスケッチ帳を開く。

 ぴよ服を着たディアの絵が描いてある。


「よく描けているじゃないか……!」

「ぴよ……! それで――本当にこれを着たいぴよよ!」

「うん、いいぞ。もちろん用意する」

「ありがとぴよーー!!」


 ディアがぴょんと俺の胸元に飛び込んでくる。

 かなりのジャンプ力だ。


 もっふもふ。


「良かったんだぞ」

「ウゴウゴ、良かったね……!」


 俺もディアを撫でくり撫でくりする。


「あと家族一緒で……やりたいぴよ」

「もちろんオッケーだ」

「ぴよ! マルちゃんは……背の高いほうでお願いするぴよ!」


 背の高い――ああ、少女姿か。

 子犬姿のマルコシアスは、今ステラに抱き上げられている。


「いいのですか、マルちゃん?」

「わふふ。いいんだぞ」


 そこでマルコシアスは一拍置いた。


「コカトリス達はみんな、二足歩行だったんだぞ……」

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