434.一段落

 せっせ、せっせ……。


 俺は一生懸命、海藻を生み出していく。

 ……地味である。


 幸い、ステラとコカトリスのおかげで星クラゲはあまりこっちにまだ来ていない。


 ぽつぽつと引っかかる程度だな……。


 しかし海の底からはどんどん星クラゲが昇ってくる。総数はどれくらいになるのだか。


 だっぱーん!


 水の音がして振り返ると、そこにはジェシカがいた。


「戻りましたわー!」

「早かったな。でも助かった……。これでまた会話ができる」


 やはりこの魔法は便利だ。会話の大切さを思い知らされる……。


「船団のうち、動けるのを連れてきましたわ!」


 ジェシカが指差した先の海面に船底が見えた。


「ありがとう。こっちはステラとコカトリスが戦っているが……」

「……エルト様はこの海藻を?」


 海藻には逃れてきた星クラゲがいくつか引っかかっている。


 どうやら浮かんでくる星クラゲはステラ達を避けているようだ。徐々に海藻に引っかかる星クラゲが増えている。


「……クラゲを逃しちゃマズイと思って」


 俺の言葉にジェシカがふんふんと頷く。


「大切なことですわ! ええ、先を見越しておられるのですわね!」

「そ、そう。先を見越してね」


 言えなかった。

 多分、俺が側にいるほうが邪魔になりそうだとは……。


 その間にもステラとコカトリスはぐるんぐるん回っていた。


 ◇


 それから船団と共同で星クラゲを除去していった。


「ウゴ、こっちも多いー!」

「大丈夫か、ウッド?」


 向こうが一段落したのか、ウッドもこちらに参戦のようだ。


「ウゴウゴ、俺は大丈夫! あっちはナナがぐるぐる回って大活躍してるから、平気だし!」

「そ、そうか……」


 ……ナナも頑張っているんだな。


「ウゴ、俺も戦い方を学んだよ! それ!」


 ウッドが腕をかざして綿を打ち出す。

 水中なのでそれほど速くは進んでいかないが……おっ、星クラゲが引っかかるな。


 しかも抜けないようで、そのまま動きが止まる。


「触手も絡むのか、いいな」

「ウゴ、とうさんの海藻と同じ!」


 ウッドが俺の作った海藻の壁を見る。

 今もせっせと増やしているので、かなりの大きさになっていた。


 今では大量の星クラゲが引っかかっている。


「ウゴ、たくさんいる!」

「ああ……どうやらこれで打ち止めみたいだが」


 海底のほうを見ても、もう星クラゲは昇ってこない。

 どうやら一段落したみたいだな。


 ステラのほうも大分、片付いたようだ。残りはもう1割、2割程度か。


「ウゴ、あの渦は……かあさん、回ってるね……」

「目は回らないみたいだな」

「ウゴ、かあさんの隣の渦は?」

「……コカトリスだ。なんだか一緒に回り始めた」


 俺の言葉にウッドは目をぱちくりさせる。


「ウゴ……ディアも回りたいって言うかな?」


 ふむ……言うかもな。


 ……ついでに他のコカトリスも、回り始めるかもしれないな……。

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