418.ぴよ向けマッサージ
お昼後。
とりあえずの待機時間、のんびりと部屋で過ごす。
メリハリつけて休むときは休まないとな。
これは前世からの経験だが……エナドリ、眠気覚まし錠剤……うっ、頭が……。
ステラはコカトリスの間に挟まれてすやすやお昼寝している。完全に密着しているので、ステラの頭しか出てない。
「すや……」
「母上、完全に寝ているんだぞ」
子犬姿のマルコシアスは俺の膝の上にいる。しとしとしっとり撫でながら、俺は呟く。
「……やはり疲れていたのかな……」
「息を数十分止めて海に潜るのは、ハードなんだぞ」
「そう聞くとメチャクチャ大変だな……」
俺なら数分で死ぬ。
ステラをいたわるのも大切だからな。ちゃんと夜ねぎらおう。
「よいしょ、ですー」
ララトマがうつ伏せになっている海コカトリスの、羽の付け根を押す。
「どうです? このツボは効きますです?」
「ぴよぅー……」(きくぅ……)
「しばらくお昼寝しても大丈夫ですからねー」
「ぴよ……」(すやぁ……)
おお、寝た。
ララトマは他のコカトリスも同じようにツボを押している。
「ウゴ、コカトリスのツボ?」
「そうです! あの辺を押すと眠るのです!」
「なるほど……そんなのがあるんだな。こってるのかな」
「ぴよ。……こる?」
テーブルの上でタオルの上に横たわるディアが首を傾げる。
かわいい。
ディアにはまだ早いだろうな。
肩こり、腰痛とかは……これは中々、辛いのだ。
「連続で筋肉を動かすとメキメキ、バキバキするんだぞ。我が二足歩行をしない理由でもあるんだぞ」
「その姿はそういう理由ぴよ……?」
「父上ならわかってくれるんだぞ……」
……そうだな。
もし子犬姿で肩こり腰痛等から解放されるなら、そうする人間はいるだろう。
「なるぴよ。きっと大変ぴよね……」
「まぁ、ディアにはまだ早いかな」
手を伸ばしてディアの頭をふわりと撫でる。そうして海コカトリスを回ってお昼寝させると、ララトマが戻ってきた。
「ぴよちゃんは別にこったりはしないのですけど……単に眠くなるツボなんです」
「すやー……ぴよ〜……」
「コカトリスは肩こりとかないのか。それは羨ましいな」
まぁ、コカトリスも長生きぽいからな。
ララトマと地下コカトリス、実は何百年も生きてるっぽいし。
それで肩こり腰痛がないなら、種族的にそういうのはないのだろう。
「……肩こり、腰痛……ですか」
「ステラ、起きたのか?」
むくりとステラが顔を上げる。
「起きました……。わたしも三日三晩、魔物と戦い抜いたあとは、ほのかに腕と腰に重みがありました……」
「ほのかなんだぞ」
「俺なら筋肉痛で死んでそうだな」
そんなことを話していると、扉がノックされる。
「クロウズです、よろしいですかな。会議が終わりましたので」
「ああ、今行く」
どうやらまた着ぐるみ時間のようだ。
「……さて、どういう話になったのかな」
その時の俺は知らなかった。
ぴよぴよ大作戦なるものをレイアが提案していることなど。
でもこれが、正解だったのだ。
何がよいか意外とわからないものだな……。
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