ステージ30 超絶人気アイドルは建国する

 明菜さんを思いっきり揶揄った。


「いやぁ、まりなさんはバカだし!」

「あの子さんも相当なあほだけど!」

「その上をいったのが、明菜さんでしたね」


 明菜さん、苦し紛れに言った。


「そりゃそうですよ。私、あの子の生みの親ですから」

「奇遇です。私も、血のつながりを感じていました」


 なっ、どっ、どういうこと?

 晴天の霹靂って奴? 違う?

 みんな顔を見合わせてる。

 私もそれに合わせた。

 

「分かっちゃうものなのね。誰にもバレないと思ったのに」

「私たち、母娘でしょう。みんなに分からなくても、私には分かる」


「そうよね。普通、分かるものよね」

「うん、ママ!」


 明菜さんとあの子さんの中でのこと。

 気付かなかった私たちがマヌケみたいになってる。


 たしかに、気付かなかったけれども……。


「ちょっと、それじゃまるで、私たちが……。」


 文句を言ってやろうと思った。

 止めに入ったのがまりこちゃん。ウザ。


「さくらさんは黙ってて!」


 まりこちゃんはそう言うと明菜さん達に向き直った。

 そして続けた。


「私たち、全然気付かなかったわ。母娘の愛は偉大ね!」


 こうして、私たちは奇妙な感動に包まれた。




 この日を境に、坂本くんは正式に私とホテルで暮らすことになった。

 何故かママやまりなさん母娘、明菜さん母娘も一緒。

 7人暮らしのはじまりだ。


 そして私たちは、トップアイドルを目指す。ここ、重要。


 私はまりなさんとあの子さんと一緒に『ばあじ』として。

 ママと明菜さんとまりこちゃんは『才・然・使』として。


「何で『才・然・使』なんですか?」


 坂本くんが疑問を投げかけた。

 ナイス! 私も聞きたかったの。

 3人が応えた。


「はい! 何でも買っちゃう天才経営者、社長でーす」

「はーいっ。すっぴん四十路の天然生娘、明菜ですっ!」

「はい。えっと。天使、まりこです。よろしくね、うふっ」


 天才と天然と天使の3人で『才・然・使』。

 なるほどーっ。




 坂本くんはママと一緒に、久し振りにお家へ戻った。

 生活用品一式を私のホテルに運び込むためだ。


 その前に、私は坂本くんとキスをした。1時間。

 ある目的を果たすため。


 その目的とは、このホテルの王都化。

 王になるのはもちろん私。さくら女王の誕生だ。

 『超絶人気アイドルは建国する』というわけだ。

 坂本くんには、王配殿下になっていただく。


 坂本くんを見送ったあと。

 私はホテルではたらく人々を集めた。非番の人も。

 それから、ママの事務所の人も。

 官邸からはしんぞうくんご夫妻も駆けつけてくれた。

 その数、3000名。

 ムシばかりだけど、これだけいるとさすがに壮観。


 みんなの前で、私はひとことだけ言った。


「今日からみんなを私の奴隷にしてあげるねっ」


 しんぞうくんご夫妻が、奴隷のしおりを配った。

 みんな食い入るようにそれを読んでいた。

 これでよしっ。




 ほどなく、坂本くんがご帰還された。

 ホテルで起こった異変には全く気付いていない。

 それから、フランクゲームを楽しんだ。

 坂本くんはいつの間にか泥のようにとろけていた。


======== キ リ ト リ ========


このホテルには、泊まりたくないですね。


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