ロケーションE 独楽のお仕事からの露天風呂⑤
【人物一覧表】
坂本 章(16)……学生
佐倉 菜花(17)……アイドル
秋山 菜乃花(8)……小学生
真田 信雄(8)……小学生
【あらすじ】
坂本くんは、泣きながら走り去っていく真田を追いかける。
独りになったさくらに、菜乃花が話しかける。
菜乃花がさくらにお説教する。
さくらは、自分が勘違いをしていることに気付かされた。
坂本くんは、真田に追いついた。
そして、さくらのしたことを謝罪する。
しかし、真田は上の空。
真田には強い暗示がかかっていた。
坂本くんはそれを丁寧に取り除いていった。
そして真田に、やりたいことをやるよろこびを理解させる。
一方、独楽の博物館前では、菜乃花の説教が続いていた。
さくらは白目になってしまった。
独楽の博物館前に戻った坂本くん。
明から何があったかを聞いた、
坂本くんはさくらにどんなことがあってもさくらの味方だと告げた。
さくらの目には、黒々とした光が戻った。
◯独楽の博物館・外(朝)
真田、全力で走っていく。
さくら(M)「ふん。ざまぁないわね。横恋慕するからよ」
坂本くん「いけない。そのままにしといちゃダメだ」
坂本くん、真田を追いかける。
引き留めようとする、さくら。
さくら「章、待ってよ」
坂本くん「真田くんを、何とかしなくっちゃ」
さくら「ひっ、独りにしないでよーっ」
さくら、取り残されて茫然自失になる。
さくらに近付く、菜乃花。
菜乃花「あの、おばさん。ちょっと面貸してくんない」
さくら「えっ」
さくら(M)「なっ、何。この子、口悪ーい」
菜乃花に手を引かれ物陰に移動する、さくら。
さくら(M)「ちょっとちょっと、何がはじまるのーっ」
菜乃花「あんた、何てことしてくれたのよ。バランスが崩れちゃったじゃない」
さくら「えっ」
菜乃花「サナダムシと諦め悪男のこと」
さくら「サナダムシ、諦め悪男」
菜乃花「そうよ。折角いい線行ってたのに」
さくら「いい線って」
菜乃花「私、2人を競わせてたのよ」
さくら「競わせるって、何のために」
菜乃花「決まってんでしょ。チヤホヤさせるためよ」
さくら「チヤホヤさせるって。じゃあ明くんのこと、好きじゃないの」
菜乃花「当たり前でしょう。あんな男のどこがいいの」
さくら「えっ。てっきり恋人同士かと思ってたのに」
菜乃花「どこをどうすれば、そうなるわけ」
さくら「はっ、はい。申し訳ございませんでした」
(ナ)「どうやら、さくらは勘違いしていたようです。そして、一方」
◯町の外れ(朝)
逃げる真田を捕まえる、坂本くん。
立ったまま向き合う、2人
坂本くん「真田くん。やっと追いついたよ」
真田「ヒーっ。お助けっ」
坂本くん「違うよ。君を助けに来たんだよ」
真田「でっ、でも。僕は最低の男です」
坂本くん「さくらが、申し訳ないことをしたね」
真田「いいえ。全部、僕が悪いですから。はははっ」
坂本くん「そんなことないよ。悪いのは、さくらだよ」
真田「はははっ。さくら様が悪いだなんて、冗談でしょう。はははっ」
坂本くん(M)「くっ、かなりきつい暗示がかかってるぞ」
坂本くん、腰をおろしながら、
坂本くん「よいしょっと。君もす座んなよ」
真田「はははっ。はいっ、座らせていただきます。はははっ」
坂本くん「菜乃花ちゃんを自分のものにしたかったの」
真田「はははっ。はい。したいです。でも、それはいけないこと。はははっ」
坂本くん「どうしていけないことって思うの」
真田「はははっ。だって菜乃花ちゃんが好きなのは明くんだから。はははっ」
坂本くん「うんうん。相手の気持ちを考えるのって、とっても大事なことだよね」
真田「はははっ。はい。横恋慕はいけませんね。はははっ」
坂本くん「そうかな。ちゃんと自分の気持ち、伝えたの」
真田「はははっ。そんなことできません。横恋慕になっちゃいますから」
坂本くん「たしかめてごらんよ」
真田「えっ、どうやって」
坂本くん「自分の気持ち、伝えてごらんよ」
真田「俺の、気持ち……。」
坂本くん「そうだよ。一番大切なのは、自分の気持ち。そうだろう」
真田「はい。そうですね。でも、それで相手に迷惑をかけちゃいけないですよね」
坂本くん「そうそう。迷惑がかからないように、受け止めてもらう」
真田「分かりました。やってみます」
坂本くん「(頷いて)うんうん」
真田「でも、今日のところは帰ります。明日っから、俺、やります」
(ナ)「こうして真田くんは、坂本くんに救われた」
◯独楽の博物館・外・物陰(朝)
(ナ)「一方、独楽の博物館前では、菜乃花の説教が続いていた」
さくら、白目をむく。
菜乃花「いい。金輪際、人の恋路の邪魔をしないでよ」
さくら「私、そんなつもりはなかったんです」
菜乃花「若気の至りってことは、誰にでもあるものよ」
さくら「はい。もう何も言わないことにします」
菜乃花「何言ってんのよ。あんた、超絶人気アイドルでしょう」
さくら「(顔を引きつらせて)はい。超絶人気アイドルです」
菜乃花「早く、まともに恋愛できるようになりなさいね」
さくら「はっ、はい」
菜乃花「まぁ、私だって芸能人としてのあんたのことは尊敬してるのよ」
さくら「あっ、ありがとうございます」
菜乃花「これからはもっと精進することね」
さくら「はいっ、師匠」
(ナ)「どうやら、さくらは菜乃花に弟子入りしたようです」
坂本くん、独楽の博物館前に戻る。
坂本くん、周囲を観察して全てを察する
坂本くん「さくら、君も辛い思いをしたんだね」
さくら「うん。私なんか、まだまだだって気付かされたわ」
坂本くん「でもね、さくら。これだけは知っといてよ」
さくら「なっ、何。坂本くん」
坂本くん「何があっても、俺だけは君の味方だよ」
さくら「坂本くん。うれしい」
さくら、黒々とした瞳を取り戻す。
(ナ)「最後に美味しいところを持っていく、坂本くんだった」
======== キ リ ト リ ========
誰が1番、子供なんでしょうか。さくら、大人げないですよね。
いつもありがとうございます。
これからも応援よろしくお願いいたします。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます