スタジオ04 高校生生活の色②

 それがおパンティーだということに、普通は気付くものだと思う。


 けど俺の極僅かだが偏ったおパンティーへの知識がそれを妨げた。


 俺の認識では、履く前のおパンティーはいい匂いがする。


 逆に、脱いだおパンティーは悪臭がする。


 使用済みおパンティーとブラジャーの洗濯は傷みやすい生地だから基本手洗い。


 そんなものだけだった。


 だから佐倉のそれの匂いに俺は何かという判断を下すことができなかった。




 それからもう1つ。その数があまりにも多かったんだ。


 佐倉がここに住むようになってから、まだ2日だと聞いていた。


 仮に毎日おパンティーを2枚消費していたとしても4枚か5枚あれば充分なはず。




 それなのに、俺がベッドの下からつかみ出したのは、全部で12枚。


 どれもくしゃくしゃ。


 となると、自ずから俺の頭の中におパンティーという選択肢さえ浮かばなかった。


 ただ、謎の物体とだけ思っていた。


 そして、その12枚は実に多種多様。


 特にその色合いに俺は興味を持たずにはいられなかった。




 俺はその謎の物体を何の気なしにベッドの上へと並べた。


 佐倉のベッドは大きい。面積にして12㎡程度。


 その下の掃除には謎の物体のせいで難儀した。


 だから、カメラの破片と謎の物体を整理するだけで、20分も要してしまった。




 だが、もっと厄介だったのは、衣装の整理だった。


 だって、あからさまなおパンティーとブラジャーが脱ぎ捨てられていたから。


 わずか2組ではあるけどね。




 1組は佐倉が学校で身につけていたもの。


 もう1組は、チューブトップとかいう衣装の撮影用のもの。


 実際に身につけていたところを見ているから、よく分かった。これは手強い。




 俺はときどきビクついていた。


 先ずは、おパンティーとブラジャー以外のものを洗濯カゴへ入れた。


 水着だけは大丈夫だし、ひと目で分かるから、一旦ベッドの上に置いた。


 洗い方によって仕分けるのは後回しにして、兎に角突っ込んだ。




 そして、いよいよおパンティー&ブラジャーの仕置きのときとなった。


 このときばかりはビクついてはいられない。


 俺は、なるべく慎重にそれらをやたらと広いバスルームへと運び込んだ。


 洗濯するためだ。乾かす時間を考えると、早めにはじめなければならないから。




 俺は、スマホを取り出しておパンティーとブラジャーを手洗いする方法を調べた。


 『あの人も愛用! 上下40万円の下着の洗い方』という動画がヒット。


 上下40万円ってどんだけ贅沢なんだろう。


 まぁ、それはいいや。




 でも、その動画は刺激的だった。


「えっ、こっ、これは……。」


 やばい動画だった。その動画は結構有名な2人組の女子大生のもの。


 なぜ有名かっていうと、2人の動画の内容の過激さにある。


 この日は下着を洗うために、汚すところからのスタートだった。


 下着を効率よく汚すために、2人がしていたのが運動。


 サービスショットというか証拠映像というのがある。


 わざとらしいパンチラが一般視聴者には程よい刺激になるのだろう。


 でも俺にとっては刺激が強過ぎた。




 うぅ、恥ずかしい……。




 いよいよ洗濯。


 彼女たちは画面の前で生脱ぎしていた。


「高校生も見るんだぞ! 刺激、強過ぎだろっ!」


 俺はツッコミを入れながらそれを見た。


 けど動画のお陰で洗濯方法は理解できた。


 佐倉が戻るまでまだあと1時間はあるし、何とかやり遂げようと思った。


 だけど俺、気付いちゃった。


 件の女子大生2人が身につけていたおパンティーと同じものがすぐそこにある。


 それは俺がベッドの下からつまみ出した謎の物体のうちの1つだった。


 形も色も全く同じ。


「ひぃっ。まっ、まさか、これが……。」


 俺は、恐る恐る手に取り、そーっと確認した。間違いない。


「こっちが後ろで、こっちが前……。」


 俺が自然に手に触れていた部分は、要の部分。


 まさに佐倉の大事なところをしっかり覆い隠していた部分だった。




 しかも、どうやら布地が裏表になっていたようだ。


 つまり、俺は間接何とかしているみたいになっていた。


 ここをこうして擦るのって、まさにそういうこと!


「おっ、おおっ、おっ、おおおっ……。」


 俺は言葉にならないことを言った。


 そして、1度はそれを投げ捨てた。


 だが、直ぐにおかしいことに気付いた。




 ブラジャーが見当たらないってこと。


 動画の中の2人は、上下セットでしか手に入らないって言ってた。


 ならば、この部屋のどこかにあるはずだ。




 このおパンティーとセットのブラジャーが……。




 俺は部屋の中、周囲を見回した。


 しかし、どこも1度は見ているところばかり。


 念のためにと隠れてそうなところ、カーテン下や、ゴミ箱の影をまわった。


 しかし、そこらはむしろ他よりもきれいなくらい。


 少なくとも12枚のブラジャーが隠れるスペースはなかった。


 俺は探し疲れて、ほっとため息を吐いた。


 ブラジャーは、一体どこへ消えたんだろう。


======== キ リ ト リ ========


成長する主人公坂本くん⁉︎ 下着は大丈夫になりました。


いつもありがとうございます。

これからも応援よろしくお願いいたします。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る