第4話 悪魔が笑う、獣が吠える


外へ出たマツリは数体の異形に囲まれていた。

「罪すら覚えぬモノ達。その絶望すら纏う。ソレがこの子の好物♪さぁ、ご飯だよ。」


私はマツリちゃんを追って外に出た。そこには謎の異形を切り裂くマツリちゃんがいた。その姿は先程までのマツリちゃんでも、真っ黒な目のモノでもない。無かったはずの右腕には真っ黒で影のような大きな獣の腕のようなものがあった。その腕は異形を切り裂き貫き…マツリちゃんはその声で雄叫びを上げた。その姿はまさに獣だった。

その姿を見ていると突然こちらに気づいた異形がこちらへ来た。それに気づいたマツリちゃんは一瞬戸惑いながらもこっちへ向かって来た。異形は私に手を出そうとしたその瞬間、マツリちゃんが私を庇った。私を突き飛ばし、マツリちゃんは異形に飲み込まれた。

「私は悔い返す、この運命。」

『呪罪・暴食ー悔い返しー』

マツリちゃんを覆った異形は徐々に欠けていった。

「ふぅ、そこそこだったかな。でも、私の我儘でごめんね。私この人嫌いじゃないから。」

私には何が起こっているのか理解が出来なかった。そんな私を見たマツリちゃんは全てを察したように謝った。

「ご、ごめんなさい。怖かったでしょ。それに…ごめんね。でも、私も少し希望を得たかもしれない。」

私は全てを切り替えて答えた。

「なら、良かった。」

「でも、やっぱり危険だから私は一緒にいられない。そうだ、これお守りにあげる。」

そう言うとマツリちゃんは十字架のブローチを渡した。

「それはね、昔私が大切な人から貰った宝物だったの。でも、今の私は持てないから私に希望を与えてくれたあなたにあげる。私のお姉さん♪うん、いい人だからきっといいことが起こるよ。」

「こんなもの貰ってもいいの?」

「いいの。さっきも言ったけど今の私は持てないし、それにもしかしたら…それはいいかな。またお姉さんに会えるといいな。バイバイ、罪無き優しいあなたに幸せが訪れますように。」

そう言うとマツリちゃんはどこかへ消えていった。私はそれを見ることしか出来なかった。

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