第2話 過去の鎖と虚無に消えるモノ(前編)


私は少女を連れて自身の家へ帰った。時折彼が来るが最近は滅多に来ることはない。彼らがいなくなってからはこの家も自分には広すぎた。

「ここがお姉さんの家?それにしては広いね。」

「うん、私の幼馴染と暮らしてたからね。」

「幼馴染?」

彼女が首を傾げたので私は写真を取り出した。それは私と彼、それに彼の妹らしい少女が写っていた。

「この黒髪の人が私の幼馴染。」

「………この女の子は?」

「この子はね……え?」

私は気づいてしまった。写真に写っている子は何故かこの少女にとても似ている。でも、目の色も髪の色も違う。気のせいだと思った。

「あ。この子はね、彼が連れてきた妹?らしいの。」

「へぇ、確かに私に似てる。でも…これは…。」

何かを悟った少女は大慌てで私に聞いてきた。

「ねぇ!この子は今どこにいるの?!」

「え?えっと、不確かなんだけど…。少し長くなるから座って話そうか。お風呂も使っていいよ。あ、そうだ!まだ名前言ってなかったね。私は未波遥(みなみ はるか)。あなたは?」

「私?えっと…マツリって呼んで。」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る