第1318話 怪しい視線
ソフィの『
「どうやら着いたようだ」
(ここはどうやら、あのエイジ殿に最初に襲われた辺りか)
ソフィは周囲を見回しながら一緒に飛ばしてきたヒノエ達に声を掛けたが、そのヒノエ達から返事がなかったためにソフィは後ろを向いてヒノエ達に視線を向けるのだった。
「「……」」
ヒノエを含めた妖魔退魔師の隊士達は口をあんぐりと開けたまま、全員がソフィの方を見ていた。
「どうしたのだ……? 我の顔に何かついておるのか?」
あまりにも視線を浴び続けるソフィは、右手で自分の顔を触りながらそう言った。
「す……っ! すげぇ! サカダイからケイノトまで一瞬だぞ!? 私達妖魔退魔師が、夜通しで向かってようやく辿り着けるかって距離が、こ、こんな数秒で辿り着けるなんて……!」
「し、信じられません……! これが『魔法』ですか!」
「あ、貴方は妖魔召士なんかよりずっと恐ろしい存在だ……!」
ヒノエを含めた妖魔退魔師全員が信じられないと口にして、隊士達はソフィに驚愕の視線を送るのだった。
「喜んでもらえて何よりだ。別世界では注意して使わなければ、移動を行う途中に狙撃されて撃ち落とされたりもするのだが、この世界ではそういった心配はあまりしなさそうでよかった」
ソフィの言う通り『アレルバレル』の世界であれば、戦闘の際に避難目的でこの魔法を使おうとすると、実力差があり過ぎる場合では『逆転移』を活用されて戻って来る瞬間に『極大魔法』を連続で撃ち続けられて、無防備の状態で延々と被弾させられて絶命する事があるために『高等移動呪文』を使う時は本来であれば『魔力感知』で周囲をくまなく調べ上げた後に使うのが基本となるのであった。
(※しかしソフィはこれまでの生涯で、一度も大魔王から狙撃をされたことがないために、いつでも堂々とどんな時にでも便利な移動手段として使っている)。
「別の世界か……。既に聞かされていたことだが、こうしてソフィ殿の『魔法』を直接経験した後だと、本当のことなのだと信用できる。とんでもねぇよあんた。それにしても全く空の上から景色を見る事が出来なかった 悔しいぜ!」
ヒノエは興奮冷めやらぬといった様子でそう告げる。
ソフィはその様子を見て、ミスズの時も同じように目をキラキラさせて子供みたいだったなと思い返して、どこか楽しそうに笑うのだった。
「クックック。帰りもお主らを送ってやるから、今度は景色を見れるように意識してみるといいぞ」
「ああ! 今度はまばたきしないように目をがちがちに開けておくからよ!」
ハハハと豪快に笑いながらヒノエは上機嫌でそう口にするのだった。
「よし、それじゃお前ら『退魔組』へ向かうとし……ん?」
「む?」
そこでヒノエとソフィは同時にこちらを監視するような視線に気づいて、同時にそちらを見るのだった。
ソフィ達の視線の先には数人の男達がこちらを物珍しそうに見ていた。
三人いる男達の内、二人はエイジ達とは色は違う同じような服装をしている者達であった。
「あいつらは……」
ヒノエが眉を寄せながら愛刀に手を充てると、それを見た他の隊士達も同時に刀を抜こうとする。
そのヒノエ達の様子に視線の先に居た狩衣を着た初老くらいの男は、慌てて何やら横に居る男に声を掛けた次の瞬間には、懐から何やら紙のようなモノを取り出し始めるのだった。
……
……
……
――時は少し遡る。
妖魔退魔師衆を倒したイツキはユウゲの『式』に食べさせるように指示を出した後、彼の長屋で待っていた『ミヤジ』と合流を果たして、そのまま『ヒサト』達が戦っていたケイノトの門ではなく、別の門の方から『加護の森』へと向かうところだったのだが、そこでソフィ達の『ケイノト』の町へ向かって来る『
そして地上へ降りて来たソフィ達を遠くから眺めていたイツキ達だったが、そこで『
……
……
……
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