第1141話 動向を確かめる一手
「今だ……っ! 行くぞ!」
露店商たちはシゲンに向けて棚やら商品をぶちまけた後、シゲンの方を振り返る事もせずに散り散りに走って逃げ始めた。
そして倒れて来る大きな棚がシゲンに当たる直前にようやく、シゲンの身体は自由を取り戻したようで、シゲンは視線を向かって来る棚に向けると軽く右手で受け止めた。
「大丈夫ですか? 総長」
「……ああ、問題はない」
心配そうに駆け寄ってきたミスズがシゲンに声を掛けるが、どうやら何とも無い様子に安心した顔を見せると、ミスズは直ぐに後ろを追ってきたヒノエ達に向けて命令を下す。
「直ぐに奴らを取り押さえなさい、一人も逃すな!」
「「応!」」
ミスズの命令を聞いた『ヒノエ』や『
「ミスズ、奴らはどうやら一介の『
「どうやらそのようですね。捕えて詳しく確かめなければ分かりませんが、少なくとも総長の動きを数秒止める事が出来ているところをみるに、最低でも上位クラスで間違いはないでしょう」
「ああ」
そしてヒノエ達に遅れてソフィ達もシゲンの方へ辿り着くと『
「お主、何故奴らに抵抗しなかったのだ?」
遠目からソフィはシゲンと男たちのやり取りを見ていたが、露店商の前に居た客の一人がシゲンに『
「ほう? ソフィ殿は彼ら『
「うむ。我も『
ソフィ達の世界とは違い敵を動けなくする『
そして相手が『
「それは彼らが『
しかし実際にそのソフィに返答を行ったのは、シゲンではなく隣に居たミスズであった。
「どういう事だ?」
先日まで『
「少し前に『
「ソフィ殿達がいつこのサカダイに来られたのかは分かりませんが、その『
ソフィが事情をどこまで知っているか分からないミスズは、シゲンの話す内容の補足として会合の事について言葉を足しながら説明を行うのだった。
「俺達であれば『
シゲンの言葉を聞いて横に居るミスズが頷くのを見たソフィは、確かに先程ヒノエという女性と目の前のミスズが小声で会話を行っていた内容から露店商達が『
「だが、彼らの正体が『
「先程の話に戻りますが、揉める事となった原因については会合で落着したばかりですので、ゲンロク殿の組織……『
「なるほど。両組織間でのトラブルが解決したばかりで『
シゲンとミスズが交互に話す内容を照らし合わせたソフィは、ようやくあの時にシゲンが手を出さずに居た心情を理解するのだった。ソフィが納得するような表情を浮かべたのを見た後、ミスズの頭の中ではもう別の事に思考を巡らせていた。
(先程の『
そこまで彼女の思考が行き着いた後、ふとあの会合の時に居なかった者達、とある『
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