第1096話 堪えるコウゾウ
「私は確かに抵抗をするならばお主達に手を出していいとは言ったが、この中に居るのは『
天狗の妖魔と憎まれ口を叩き合っていた『
ヒュウガはそのジンゼンという男に対して『式』を使役するのは、少々過剰すぎるのでは無いかと告げるのだった。
「そ、それがヒュウガ様、聞いて下さい! この屯所には少々
「何ですって? 魔力が消えるとは一体どういう事か分からないのですが……。里に展開しているような私達の扱う結界とは違うモノなのですか?』
「それが……。全く違いますね。我ら『
ジンゼンの話を聞いていたヒュウガだが、そんな結界の存在は長く『
「そうですか……。まぁそれは後々調べるとしてそんな事よりキネツグ達はどうしたのですか? 『
「それが恥ずかしながら建物内の一階も二階の方も全員で調べたのですが、
そう言ってジンゼンは、倒れ伏せた事でうつ伏せになっていたシグレを足で仰向けにさせながら、ヒュウガに説明を行った。
(シグレ!!)
どうやら相当に痛めつけられたのだろう。シグレの顔はぱんぱんに腫れあがり、更には至るところにアザや傷が目立っていた。
「これはこれは……。まだ子供なのに可哀想な事をするではありませんか」
意識を失っているシグレの頬を撫でると、ヒュウガは溜息を吐いて『
「言っておくが儂はこの人間の命令で手を出したに過ぎぬ。そんな目で儂を非難するように見られても困るぞ」
『
「まぁいいでしょう。キネツグ達の居場所は直接彼から聞く事にしましょうか」
そう言ってヒュウガは、はらわたが煮えくり返る程の怒りを露にしている『コウゾウ』に視線を向けてそう告げるのであった。
「そろそろ口を開いたらどうですか? どうやら部下達がやられて相当に苛立っているようですが、我々とて手荒な真似が目的でここに来たわけではありません。何度も言っていますが、貴方達が捕らえたキネツグ達……『
右手の親指と薬指で眼鏡を上げながら、沈黙を貫いているコウゾウに向けて話し掛ける。
「……」
コウゾウはそう告げられても睨むような視線を彼らに向けるだけで一切会話をしなかった『
「やれやれ『
ヒュウガはちらりと後ろに立っていた『
慌てて他の『
「待てっ……! 何をするつもりだ貴様!」
今まで何を言っても返事すら碌にしなかったコウゾウが『
……
……
……
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