第997話 空からの偵察
「ヒロキか。ビビらせるなよ! まぁそんな事はどうでもいい。それよりもヒロキ、外を見てみろよ」
「分かっています。護衛隊達にこの場所がバレて、乗り込んでこられた事でしょう? 旅籠町の捕らえられた男の回収に向かっていた筈のセルバスが、護衛隊を連れてここに来ているところを見るに、どうやら奴はヘマをやらかして俺達『
「やっぱりそうか……。さっきの爆発は護衛隊の仕業だな。俺らは今からこの事をボスに報告に行く。奴らはお前に任せる。何とか時間を稼いでくれ」
「分かっています。その為に俺達はトウジ様に雇われたのですから。仕事を全うしますので、その間にボスと共に逃げて下さい!」
「頼んだぞ、ヒロキ。よし、俺達もボスの元へ急ぐぞサノスケ」
「ああ!」
ミヤジとサノスケが慌ててボスの元へ向かうのを確認した後、スキンヘッドの男『ヒロキ』は、皮製のグローブを装着し始める。
――彼があっさりと『
それは『
『
この取り組みが行われたのは二代目の『
『
『
特に戦って得になる事も無かった為、これまで『
「相手はあの『サカダイ』の町の『
そう言ってヒロキはにやりと笑うと首を鳴らしながら『ソフィ』達の居る中庭へと歩いて行くのであった。
……
……
……
そしてヌーがアジトの中庭で『
狙う対象の連中が何か結界を施している可能性を考慮して、あまり近づかないようにしながらも、しっかりと様子を見れる手立てを使っているようであった。
「まさかこんな人気の無いような場所に、あんなに怪しい連中が隠れ潜んでいたとはな?」
「それにしても解せないわね。私はてっきり、ヒュウガ様に殺すように命じられたあの連中は『
チアキという女性は、右手で口元を押さえて考える素振りをしながらそう言った。
「ああ。どう見ても仲間って感じではないな。あの大きい男は相手を池に蹴り落していたし」
「本当に連中は何者なのかしら? さっきの施設の結界に放った『
「確かにな……。あの程度の『結界』すら破壊出来ない奴だ。奴らは『
「私もそうかもしれないと思ってはいたけれど、そもそも『エイジ』様が、一緒に行動しているのも理解出来ないのよね。
「どうするよ? とりあえずあの連中の揉め事が一段落するまでは、手を出さずにこのまま見ておくか?」
「あんまり遅いとヒュウガ様がうるさいでしょうけどね」
「ははは、別にそれは構わんだろう。そもそもゲンロク様に内緒で俺達を派遣してんだぜ? ヒュウガ様も大きい声では文句は言えねぇだろうよ」
チアキもキネツグも『ヒュウガ派』と呼ばれる者達だが、その大元は『
『
その事はヒュウガも十分に分かっている事である為、少しくらい報告が遅れたとしても、咎めて来るような真似はしないだろう。
「それもそうね。私もちょっと気になってきたし、もう少しだけ様子を見てみましょうか?」
「よし、決まりだな。ただまぁ逃げられないようだけ気を付けていようぜ」
「ええ、勿論分かっているわ」
二人はその言葉を最後に静かになった後、互いに空を飛べる『式』を使い、アジト周辺に簡易的な結界を施していく。
(※簡易的な結界の為、他者に影響を及ぼすような『影響付与』や、他者の攻撃を防ぐような物ではなく、あくまで
「ん?」
キネツグは鳥類の『式』に乗りながら上空を飛び回り、周囲一帯に結界を施している最中だったが、その結界で『侵入の痕跡』を感知した。しかし直ぐに感知出来なくなった事で、違和感だけが残るのであった。
「あの辺りか?」
キネツグはそう告げると自分の『式』に命令を出して、結界が感知した存在が居た場所へと移動を開始する。
キネツグの使役する鳥類の『式』は、非常に移動に優秀なようで、猛スピードで移動を開始して、一瞬で感知した存在が居た場所へ到着する。
しかしその速度であっても『キネツグ』が辿り着いた時には、もう感知した存在は影も形も存在していなかった。
「あれ? 野生の妖魔が入り込んだか? 参ったな……。これなら最初から『結界』に力を入れておくべきだったか」
数秒程に渡って周囲一帯を見渡したキネツグだったが、もうここに居ても仕方がないとばかりに、再び『式』に乗ってチアキが居る方へと戻って行くのであった。
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