第980話 ノックスの金色の体現者
「君にやってもらいたい事は、現在の『
「え?」
これまでの任務でも袂を分かった組織である『
しかし『
それをわざわざ外部の人間を使って調べるという事は、余程の事であるとユウゲは考えるのであった。
「先程も言ったが今の『
「昔の貴方を知っている身としては少々驚きましたよ。貴方がそこまで慎重になる理由は、色々と明るみになる事を恐れているからですか?」
ユウゲは目の前のイツキがいつもの笑顔を浮かべている事で、ついいつものような態度を出して、聞かなくてもいい事を聞いてしまった。
言葉に出した瞬間にユウゲはしまったと言う表情を浮かべる。しかし既に時は遅く、笑顔を浮かべていたイツキの目が見開かれた。何とその瞬間にイツキの周囲に金色のオーラが纏われ始めた。
「この俺が誰に恐れているって?」
イツキの言葉を聞いたユウゲは、汗がぶわっと噴き出した。
「い、いや……! 失言でした。お許しください!」
『
イツキが目を見開いた瞬間。ユウゲは全身が固まったように動けなくなった。慌てて彼が謝罪をするように言葉を出した事で、イツキに『捉術』を使わせるような事態は避けられたが、もしあのままであれば自分は何をされたか分かったものではなかった。
この『
「言葉には気をつけろよ? この場でてめぇの首を落としても
「わ、分かっております!!」
正座をしていたユウゲは慌ててそのまま床に頭をつけながら、イツキに土下座をするのであった。
「もういい。頭をあげろ」
ユウゲはその言葉に平伏していた体を起こして、まるで主従の関係にあるかの如く、再び正座をとるのであった。
数秒程、互いに『間』があったが、再びイツキが口を開いた。
「どうやら二代目の奴が俺に許可無く、新たに得たいのしれない野郎を『
これが普通の真っ当な仕事を行う組織であったならば、まだそれくらいの事でと思えるかもしれないが『
外を頼る組織では無い為に、組織の仲間の信用が無ければ成り立たない。それも先代のボスであるイツキに対して不信感を抱かせるような真似を現組織のボスが行うというのは、何かあると思われても仕方がなかった。
「つまり私の仕事は『
「簡単に言えばそう言う事だ。何か不自然な点や、怪しいと思った事は何でもいい。そのままお前が見て思った通りの感想を俺に伝えろ」
イツキの目に映るユウゲという初老の男は、自分を見て弱気な様子を見せているが、能力的には何も問題は無い。退魔組でも『
『
「分かりました。それでは早速準備をしに戻ってもいいですか?」
ここに来た時よりも数段やつれた様に見えるユウゲを見て、イツキは少しだけ苦笑いを浮かべながら、首を縦に振った。
「アジトの場所は分かるだろう? 幹部連中はお前の事を知っているし、お前もミヤジやサノスケの事は知っている筈だ。アジトまで辿り着いたら、お前は奴らと合流して俺の任務で来たと伝えろ」
イツキの言葉にコクリと頷いたユウゲだったが、立ち上がろうとしてそこで口を開いた。
「数日程、離れる事になるでしょうが、退魔組に居る者達にはこのまま何も伝えなくても大丈夫なのでしょうか」
「ああ、その辺は気にするな。俺は
そう言ってイツキはいつもの屈託の無い笑みを浮かべた。
暗にそれは『退魔組』の『
……
……
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