第758話 煌聖の教団の生き残り
(他の種族を滅ぼして世界を支配し、神々によって封印された……か)
細部はダルダオスの時とは違ってはいるが、この面に関しても『アレルバレル』の世界は『リラリオ』の世界と似ているとソフィは考えるのであった。
――ヴェルマー大陸がアレルバレルでいうところの魔界。
――ミールガルド大陸がアレルバレルでいうところの人間界。
そして目の前に居るレルバノンがやろうとしている事もまた、細部は違うとはいっても人間界を想うソフィと酷似していた。
「レルバノンよ、先程も言ったが今我は別件を抱えておる。それが済めばまたこの世界へ戻って来る。それまでこの件の調査を進めておいてくれぬか?」
ソフィがそう言うとレルバノンはコクリと頷いた。
「分かりましたソフィ様。私もこの件はソフィ様の耳に入れておきたかっただけですので」
そう言うとレルバノンは、会議で使っていた資料を纏め始めた。
どうやらこれで本当に、この件の話は終わりのようであった。
「もうすぐここに我を追ってレアが来るだろうから、ここで待たせてもらっても構わないか?」
ソフィがそう言うとレルバノンは、笑顔を浮かべて頷いた。
「それでは紅茶でもお飲みになられますか?」
「よろしく頼む」
レルバノンがかつて彼の屋敷で使っていた鈴を鳴らすと、配下の魔族が会議室へ入ってきた。
「すまないが、紅茶を二人分とレグランの実を頼む」
「畏まりました」
「……何? レグランの実だと?」
「ふふ、お好きだったでしょう?」
「うむ! 感謝するぞ」
嬉しそうに頷くソフィを見ながら、レルバノンは思った。
(こうしていると本当に年相応の子供に見えるのですがね。ひとたび彼の不興を買えば、一つの世界が終焉を迎える。本当にとんでもない話ですよ)
当然レルバノンもレイズ魔国で起こった『
調査していた配下からその情報を聞いたとき、レルバノンはソフィの所業に別段驚きは無かったが、この見た目が少年の彼の強さに、
このリラリオの世界の『
しかし同じ神々の魔神を従えて見せる『ソフィ』という魔族であれば、その神々が相手でも結果は変わっていたのかもしれない。
そこまで考えたレルバノンだったが、ソフィが別の種族を滅ぼして世界を手に入れようとする姿が想像出来ず、考えても栓なき事だったと小さく笑うのだった。
……
……
……
「成程。そのアレルバレルという世界が、アイツの住む本当の世界だという事だな?」
「は、はい……、その通りです! す、全て私の知っていることは話しました。で、ですから命だけはお助けを……!!」
クッケの街の近くにある『トータル山脈』の麓にある洞窟の中、大賢者ミラの姿をしている『レキ・ヴェイルゴーザ』は、とある魔族をこの洞窟に連れてきた後、アレルバレルという別世界がある事。そしてその世界の王である大魔王ソフィについて、この魔族の男の知り得る限りの情報を吐かせたのだった。
「ククククッ! 何を脅えている。俺に助けを求めに来たのはお前だろう? だったら何もそんなに恐れる事は無いだろう」
レキの笑い声に絶望の表情を浮かべている男の名は『マルクス』。
かつて『
最高幹部であったハワードに命じられてこの世界に訪れて『
この命令を尊守し『魔王』レアを『アレルバレル』の世界まで拉致する事に成功したところまでは良かった。しかしその後、アレルバレルの世界にまでレアを拉致した彼を追ってきた『レイズ』魔国の女王シスの手によって、内臓に手を突き入れられて血反吐を辺りにぶち撒けながら彼は絶命させられる事となった。
他の『
マルクスはその後、リラリオの世界に用意していた『
しかしそこで暮らす彼は、自身の主であった教団の総帥であるミラが、ミールガルド大陸へ飛んで行く姿を見た。
慌てて彼は自分がマルクスの『
だが、このミラは彼の知っている『
……
……
……
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