第268話 大魔王ソフィVS魔王レア
強引に外に出されたレアは目の前で一気に戦力値が跳ね上がった化け物を睨む。
ヴァルテンの謀りによって復讐の対象をソフィだと信じ込み、人生を狂わされた哀れな『魔王』が、報復の為に全身全霊を賭けて戦おうとしているのだった。
「私の大事なフルーフ様を壊しておいて、よくそんな口がきけるわねぇ!!」
恐ろしい速度でレアはソフィに殴りかかるが、その拳をソフィは避けずに右手で受け止める。
ソフィに拳を止められた後に再び引き離して攻撃をしようとするが、ソフィの握力は異常なまでに強くどう足掻いても引き剥がせない。
「離せぇっ!」
自分の身体を上空から地面に落とす勢いで重心を傾けながら、その反動で左足をソフィの蟀谷辺りを目掛けて蹴り上げる。
ソフィはその左ハイキックを右手の肘で受けながら『
レアも自身の魔瞳『
――刹那、ソフィが忽然と消えて姿が見えなくなり慌ててレアが周囲を探る。
ほんの僅かの時間でレアの前から姿を消えたソフィだが、レアの魔力感知や魔力探知にも反応がなく完全に見失うのだった。
「くそ……っ! どこへ行った!!」
レアが苛立ちと共に叫びながら背後を振り返ると、笑みを浮かべたソフィが余裕を見せながら立っていた。そして目にも止まらぬ拳でレアを殴りつける。
拳ではどうやっても出ないような爆音を辺りに響かせると、レアの身体は雲を突き抜けて吹っ飛んでいった。
【種族:魔族 名前:レア(真なる大魔王化) 魔力値:2億8548万
状態『青』と『紅』の二色オーラ 青の練度3.9 紅の練度1.2
戦力値:19億7400万 所属:大魔王フルーフの直属の配下】。
二色のオーラを纏っているレアだが、まるでソフィには歯が立たずに弄ばれてしまう。
だがしかしそれは仕方のない事であった。
現在のソフィの形態は今までのように
【種族:魔族 名前ソフィ(大魔王化) 魔力値:6億4000万
状態:
(※真なる魔王化、MAX時のソフィの戦力値は3億7700万である)
だが、まだまだソフィはこの形態でさえ本気ではなく、オーラも纏ってはいない
しかしそれでも既に二色のオーラを纏っているレアよりも遥かに戦力値が上であり、レアに実力の違いを見せつけていた。
ソフィによって殴り飛ばされたレアは、ヴェルマー大陸上空を恐ろしい速度で吹き飛ばされていた。
次から次に雲に突撃しては突き抜けていく。飛ばされながらレアは痛みよりも怒りが体中を駆け巡っていた。
そしてようやく勢いが止まり、雲と雲の間で止まった。
ここまで力の差を見せつけられたレアだが、頭の中はフルーフの事でいっぱいであった。
生まれた時から誰にも優しくしてもらえず、一人で生きてきたレアを拾い育ててくれた、たった一人の育て親フルーフの事を――。
そしてそんなフルーフが壊されて、廃人のようになっていた映像を思い出す。
「……ふるーふさまぁ!」
溢れる涙を両手でぐしぐしと拭きながら、憎きソフィを殺す為にレアは全ての力を開放するのだった。
……
……
……
ソフィとレアが戦いを始めた頃、リラリオから遠く離れた世界『
――その魔族の名は『ヌー』。
あらゆる化け物たちが蔓延る『アレルバレル』の世界で力でのし上がり、一度は
過去にソフィに敗れはしたが、現在はフルーフの新魔法を次から次に吸収し、着々とソフィを殺す為に力をつけ続けている。
そんな彼はすでに『イザベラ』無き『ダール』の世界を自身の手中に収める事に成功して、完全に支配をしていた。
「さて、まだまだあの化け物と戦う時期ではないが、一度くらいは面を拝んでおくか」
ある組織の人間と契約を結んだヌーは『
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