第161話 来訪者の正体



深夜に現れたユシアの暗殺者




フェリは思い出す。

あの姿は、おそらくここの『女生徒』に化けている。


この件で、ユシアは期待できない。なぜなら、女生徒ってだけで油断しちゃうだろうから!



フェリは、翌朝から、学園内を飛び回る。


昨夜の記憶を頼りに探すが、暗闇で一瞬しか見えなかったしなぁ・・・うう、正直特定できる気がしない。



!?



ある女生徒と一瞬、目が合う。

そして、彼女は、さっと視線を逸らす。


あの娘・・・確か竜寮の『ビシャ』って名前のお嬢様、センシに話しかけようと必死だった子・・・


フェリは考える。


今現在の私は『木の女神』の力が衰えて、姿が見えたり、声が聞こえる人間は限られる。犯人は、昨夜、『私の声』に驚いて逃げて行った・・・



「・・・」



フェリは、ビシャの一挙手一投足をじっと凝視する。

こっちに気づいているのに必死に気づいていない振りをする彼女・・・怪しい。



ずっと、ずっと彼女を凝視する。



流石に、耐えきれなくなってきたのか、観念するビシャ



「・・・何よ、さっきから」



「・・・えー、別に」


続く沈黙・・・

ひりつく空気・・・



「ただまぁ・・・昨晩あなたと会った気がして・・・」



「し、知らないわ」

ビシャの声は震えて狼狽している。


「だいたい、どうして、竜寮の私が・・・『兎寮』なんかに行かなきゃならないの?」



・・・



「語るに落ちとる!!」


フェリはほぼ自白したビシャに突撃する。

「魔王軍の手先、覚悟!!」


「痛い痛い、魔王軍?・・・違うわ、私は『水の神』よ!」




・・・え?




探していた『水の神』は唐突に見つかる。


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