第158話 ユシア、レベルアップ



マジョは、ユシアをまじまじと見る。




森から帰って来て、ユシアの様子が、変わっている。


動きに無駄が無くなって、洗練された感じ、強さのレベルが一段、上がった様なそんな印象を受ける。


(なんだ・・・そんな現象が起こるキッカケはあったか?)


マジョは思い返す。

森でサクッと倒したらしい蜘蛛の魔獣がキッカケという事も考えられるが・・・



ただ、おそらく、あの放課後の女生徒に振られた件が、そうなのだろうと直勘が言っている。



(あれで?)



マジョには到底理解不能だが、強くなるとっかかりは人それぞれだしなぁと思いつつ



「おい・・・ユシアの奴、『何が』あった?」



マジョは後ろからセンシに話しかけられる。

センシもセンシで、ユシアのただならぬ様子を肌で感じ取っているそうだ。



「・・・さ、さぁ」



マジョはどう答えたものか口籠る。


「・・・ちっ、俺は蚊帳の外かよ」


なんかちょっと拗ねているセンシ。




(・・・いや、蚊帳の外っていうか・・・)




センシのファンだった娘で、こんな事になったから、むしろ『主犯』っていうか・・・(本人は知る由もないが


(・・・)



事実を伝えれば、ややこしい事になると確信したマジョは、何も知らない体を貫く事にした。




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