第156話 人を見る目が無い男
同刻、
ドゥモ魔術学園に放たれた蜘蛛の魔獣・・・
センシが、他の学生を守る様に立ち回っていた所をマジョが一気に距離を詰めて、一気に蹴り上げる。
(手ごたえが、無さ過ぎる!)
ここは王国の要所、
ギゼンシヤレベルの魔王軍が、居てもおかしくないはずなのに
まさか・・・何かの陽動?
(・・・いや、何のための、陽動だ?)
マジョの疑念に答えは出ない。
「おい、人の獲物、横取んな」
そして、センシの文句も耳に入っていなかった。
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ユシアの一撃をくらったククモは、森の奥深くまで、吹っ飛んでいく。
朦朧とした意識の中、
このドゥモ魔術学園に赴任したばかりの頃の思い出が脳裏に映る。馬鹿な人間どもと見下しながらも、
職務は忠実におこなった。
ある時、魔王軍から部下が送り込まれてきた。奴も同じく人間を『ゴミ』としか思わない魔獣だった。
遊びで、生徒を殺そうとさえしてた・・・
気づいた時、
自分は、激昂して感情のままに、そいつを、ぶち殺していた。
「任務に支障をきたす者を、始末しただけ、何の問題も無い」
マゼンダ様は、私の報告に、そう結論づけた。
そうだ、私は、理性的に、俯瞰的に、冷静に、そう判断しただけ・・・何度も自分にそう言い聞かせた。
『貴方は良い先生だな』
エイユの言葉が今更ながらに頭の中に響く。
「はは・・・ははは」
乾いた笑いが、溢れる。
あんな化け物・・・
どこが『出来の悪い息子』だよ・・・
全く、人を見る目が無さ過ぎる。
そんな事を考えながら、意識が遠のいていくのを感じた。
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