第47話 即刻『首』勧告されるソウリオと異変の始まり




聖騎士ソウリオの回復魔術について





生まれつきの魔力の総量も膨大で、回復魔術の才能に長けたソウリオだが、

彼女の回復魔術にはひとつだけ『大きな欠点』があった。


それは回復した対象が『たりらりら状態』になってしまう事。

その状態は個人差はあるが、1ヶ月程度続く。




「だが、一か月程度だ。聖騎士団の牢屋で一か月過ごせば、死ぬかもしれない大怪我がきれいさっぱり元通りだぞ」




精一杯自分の正当性とどれだけ役に立つかを力説するソウリオ

そのソウリオの横で「たりらりら~♪」と踊り続ける被害者・・・



回復術の事を良く知らないユシアにとって、

「これは別に問題ないのでは?」と思っていたが


フェリは手を顔で覆い隠し、ああああと呻いている。




センシは、一通り事情を聞くと、ソウリオに対して




「よし、お前は『首』だ」




と冷徹な顔で言い放つ。




・・・



「いやああああ!!」

ソウリオは叫びながら、センシにすがりつく。


「放せ、こっちくんな、回復術でこんな後遺症残ったら、即敵に殺されるだろが、使えなさすぎる」



「そのセリフ、聖騎士団の皆から、言われ慣れている!、この程度で私の心は折れないッ!!」



「うぜぇ!、とにかく俺らと関わるな」


「嫌だ、私は『勇者の仲間』になって世界を救わないといけないんだ、だから協力してくれー!」




「まぁまぁ」


ユシアは、センシとソウリオをなだめる。



「命が助かるなら、別にそれくらい」



「!」



その言葉を聞いたソウリオはユシアの両手を握る。

「ありがとう、ユシア殿、そんな事を言ってくれたのは、そなたで『二人目』だ」


ユシアは、上目づかいで見上げてくるソウリオに、照れて無意識に顔を反らす。




・・・




ゴタゴタしている内

塔が小刻みに揺れ出す。

そして、ドン!!という大きな音が塔中に響いて揺れる。




塔の窓から外を覗くと




「なんだあれ」




泥や土でできた人形の様な魔獣が塔の周りにたくさん見える。

奴らはうごごとうめき声を上げながら塔を包囲して中に入り込んでくる。


「ユシア、戦闘準備だ」


「おう」


センシの掛け声と共にユシアは武器を構える。




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