第38話 回復術師を探そう
何の為に王都へ来たのか?
夕刻の王都を歩きながら
改めてユシアは自分に問いかける。
オノノンさん・・・
訳も分からず走り去ってしまったとはいえ、
彼も父親の知り合いであることは間違いなさそうだ。
こんなに人が多い都会だから、数年も前の事だから、もう誰も覚えていないかもしれないと・・・そう考えていたが・・・
意外にも父親エイユの事を知る人は、少なくないのかもしれない。
確か・・・
父親は王都で聖教会の聖騎士団に所属していた。
「さぁ、ユシア、あっちの『聖教会』の方へ行くわよ!」
唐突なフェリの提案に、びくっと反応してしまうユシア
まさか心を読まれているのか?
「え、なんで?」
「勇者の仲間の
先代勇者パーティの回復術師の方はね、聖教会のシスターで、
聖女って呼ばれててね・・・
その美しさたるや思わず息を飲む程だったと記されているわ
ユシアとセンシ・・・男、男と来て
次の仲間・・・
やっぱり、可愛い女子がひとりいてこそ、パーティは華やぐというモノ
さぁ、ユシア、『女』の回復術師を探すわよ!
(心なんて読まれている訳もなかったな・・・)
ユシアはフェリの導きのままに聖教会の区画へ歩き出す。
王都、聖教会区画・・・
ここは王都でも上層の富豪街の中にあり
王都の中にありながら、自然も豊かな別世界らしい。
ユシアがその区画の大きな門を通ろうとすると
守衛の兵士に足止めされる。
「ここは許可された者しか、立ち入りできないよ!」
と言われつまみ出される。
「すいません、知らなくて」とユシアが言い訳している間にも
ズボンの裾を引っ張って、勇者の証を
(ホントやめろ、ホントやめろ)
・・・
「しゃーないわねー」
フェリはふっとため息をつきながら
次の手を考えている。
「仕方ないわ、『出待ち』しましょ!」
門の傍の草むらに隠れて出てくる人を待つ。
(・・・ホント、王都まで来て何やってんだろ?俺)
さもしい気分にもなるが
父親の話を聞くという目的のためにも
ここはフェリに従っておくことにした。
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