第32話 気になる気配




「お前、何やったよ?」





魔術結晶を調達して帰ってきたセンシは

事の惨状を見て、ユシアが原因だと一方的に決めつけている。


「俺じゃねぇ」


ユシアは否定する。




「マジョって名前の女の子が、素手でぶっ壊して行ったんだよ」




フェリと一緒に事のあらましを説明する。

正直、二人とも今起こった事に対して、まだ半信半疑の夢見心地だ。




魔術都市ロストロイス・・・鬼の面の女・・・




あそこは魔術戦闘のエキスパートを育ててる。

一定以上の魔術師になると、強さの証として仮面を渡されることから

別名『仮面部隊』なんて呼ばれてたか


世間知らずのこいつから出る嘘にしてはデキすぎている・・・



センシは、砕けた岩に手を当てる。




「・・・」





魔力の残滓ざんしを・・・カスほども感じない・・・





「やっぱり、嘘か・・・」



センシはぎろりとユシアを睨む。


「だから!」

そして、再び、ふりだしに戻る。








$$$









マジョは

ゆっくりと王都へ歩みを進めていた。

その道すがら、さっきの男の子の事を思い出す。




あの人、妙な気配だったな・・・




最近はめっきり見なくなった妖精と

一緒に旅をしていたからそう感じたのだろうか?

妖精と一緒だなんて、まるで、お伽話の勇者みたい・・・




いや・・・




あの男の子自身からも、やっぱり妙な気配を感じた気がする・・・




どこだ・・・




身体の上半身・・・ではなく・・・




下半身・・・




足じゃなくて・・・




もっと上の、股間の・・・





・・・





って、何処の事を思い出しているんだ私!

思春期の子供じゃないんだから・・・



少し顔が熱い。

我に帰ったマジョは

さっきの考えをかき消すことにした。



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