第29話 王都一番の『斧』鍛冶屋




「これは・・・ユシア君の力に『斧の方』が耐えられないみたいだね」





バートさんが俺の斧を振る姿を見た時の感想だ。


どうやら俺には『武器スキル』のひとつである『斧スキル』がかなり成長しているそうだ。


スキルとは特定条件下でのみ発生する特殊な力で

俺の場合は斧を手に持っている条件下で基礎能力が飛躍的に上昇する。



「斧を持ってない時はカスみたいなステータスだけど、持っている時は凄いわ、ユシア!」



フェリの言葉の前半が引っかかる。

持ってない時カス発言いらなくない?



「斧スキルなんてマイナーなスキル上げている奴初めて見た」



センシの冷静な発言になんとも微妙な気持ちになる。




話を最初に戻すが





俺の斧スキルはバートさんが見た事ない練度まで上がっており

普通の斧では俺のスキルに耐え切れないらしい。



という事で、ススラカの街で魔獣討伐の仕事をする時は、斧を2,3本持っていくことになっていた。



思えば、木こり時代に使っていた『斧』

あれはすごくいい斧だったんだな・・・


既に『棒』になってしまったそれを見てため息をつく。





「そうだ、ユシア君、王都へ行く用事があれば、『彼』を訪ねるといい」





バートさんの知り合いに斧に詳しい人が居るそうだ。



彼の名前は『オノノン』

バートさん曰く、王都随一の『斧』鍛冶屋らしい。



オノノン・・・



ユシアは名前の響きに一抹の不安を覚えた。




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