第28話 王都へ
ユシアは夢を見る。
幼い頃の夢だ。
母親もまだ生きていて夕食の準備をしている。
俺は、何かを楽しみに待っている。
誰かの帰ってくる音、
戸口まで小さな体で駆けていく。
「父さん!」
思い切りその大きな体に飛びつく。
父のエイユが帰ってきたのだ。
大きな筋肉質な体、大きな剣を携える彼
家族三人での夕食
父の魔獣討伐の村人からのおすそ分けでメニューはいつも豪華だった。
そして、俺は父の活躍した話が大好きで、何度も話して欲しいとせがむ。
「父さん・・・俺も大きくなったら、父さんみたいな英雄になるんだ!」
そんなセリフを
キラキラした純粋な目で、吐くのだった。
$$$
うわああああああああああああああ!!!
「!?、どうしたの!ユシア?」
朝早く目覚めるユシア
あまりのおぞましい夢に叫んでしまった。
フェリをびっくりさせてしまったみたいだ。
「すまん」
「怖い夢を見たのね・・・でも、大丈夫、魔王軍は強大かもしれないけど、みんなの力を合わせればきっと戦えるわ」
優しい顔でそっとユシアの腕に手を乗せるフェリ
(こいつはこいつで、何か勘違いしてるし)
・・・
ユシアは井戸水で顔を洗う。
朝の水はひんやりとして気が引き締まる。
ぼんやりと朝焼けの空を見上げる。
今朝の夢、父親の夢・・・
確か父エイユは聖教会の騎士として『王都へ』派遣されたんだ・・・そして、事件が起こる・・・だったか・・・
今まで意識的に考えないようにしてきた父親の記憶
・・・
「王都・・・行こうかな」
そんな言葉がぽろりと出てしまう。
「え、いきなり、どうして?」
不思議そうな顔をするフェリ
あー・・・
なんと答えたものか・・・
「理解したわ!ユシアの目的」
「え」
「王様に『勇者の証』を見せつけて!、自分こそが真の勇者であることを示すのね!」
・・・
一気にテンションが上がるフェリ
(そんな事したら、そっ首刎ねられるわ)
フェリのあんまりな予想に
首に寒気を感じるユシアだった。
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