168. 異世界945日目 結婚式の前に

 結婚式の日程が近づいてきてぼちぼちと参列者が王都にやってきている。地球にいたときは時間がかかっても数日あれば世界中のだいたいのところに行ける感じだったが、こっちではそういうわけではないのである程度余裕を持った行程でやってくることが普通のようだ。

 それでもかなり強行軍でやってきているようなので結構大変そうだった。まさかそこまで参加してくれるとは思ってなかったからなあ・・・。

 他にも案内を出した人からの手紙も届いている。参加したかったけどやっぱり日程の問題などもあり来ることができなかったと書かれている。まあそれはしょうが無いだろう。移動だけで1ヶ月とかかかってしまうところもあるからね。




 最初にやってきたのはラクマニア様だった。到着したとの連絡が入ったので宿泊している宿にお邪魔することにしたが、さすがは要人が泊まっているホテルだけあって立派なところだった。建物自体はシルバーフローとそこまで変わらないんだが、内装が豪華だし、警備もしっかりしている。まあ今はさらに特別なんだろうけどね。

 建物の敷地に入るところから警備が厳しくて、身分証明証の提示を求められてしまう状態だ。この後フロントで連絡を取るが、そこでもかなり待たされることになってしまった。確認が取れた後は、係の案内で部屋まで移動してやっと会うことができたという感じだ。

 部屋に入ると、久しぶりに会う孫の二人が飛びついてきて大変だった。結局話が長くなり、この日は夕食まで一緒に食べることになってしまったよ。


 あの後のことを聞くと、対立していたハックツベルト上位爵も若干歩み寄りを見せてきたらしく、国の改革が前に進み始めたらしい。大きな派閥の二つが平民の登用を前向きに進める意向を示したため、他の派閥も反対できなくなってきたらしい。

 おそらく自分たちのことが意識が変わった要因の一つだろうとお礼を言われてちょっと照れくさかったよ。まあ時代の流れを考えるとある程度妥協していかないと落ちぶれてしまうのは反対していた人達になるだろうからね。




 その二日後にはアルモニア国の一行もやってきたようなんだが、ジョニーファン様はいきなりうちにやってかなり驚いた。本当は王宮に挨拶に行くはずだったらしいが、一行から離れてやってきたらしい。いいのか?結局この日はずっと色々と話をしていたせいで夕食も一緒に食べて夜になってから帰って行った。普通に自分たちが食べるものを出したんだけど良かったのかな?


 このときジョニーファン様の護衛についていたのは北の遺跡の調査の時の隊長のサルマン・クリファーさんと副官のデイストリフさん、ヤルマンさんの3人だった。遺跡の調査が終わった後は王都に戻り、ジョニーファン様と一緒にいろいろと遺跡の調査結果の整理をしていたらしい。

 今回のヤーマン国への移動の時の警護にこの3人がつくことになったらしいが、ジョニーファン様からの話だと普通の兵士だと学術的な話ができなくて退屈だからと言うことだった。


 あと驚いたのはサルマンさんとデイストリフさんが結婚していたことだ。ヤルマンさんからこっそり聞いた話だと、ずっと慕っていたデイストリフさんから告白して付き合うことになったみたいだ。そのあとはトントン拍子に話が進んで結婚することになったみたい。お祝いを言うとかなり照れている二人がなんとも・・・。




 翌日はラクマニア様から再度呼び出されてジョニーファン様を含めていろいろと話をすることになってしまった。二人がそろうと話が終わらず、かなり遅くなってしまったこともあり、結局その日は泊まっていくことになってしまったよ。近いからいいと断っても、明日の朝もまだ話したいと言われてはどうしようもない。

 その階を全部借り切っていたみたいで、自分とジェニファーはかなり立派な部屋の鍵を渡される。いかにも高級ホテルのスイートルームという感じなんだが、寝るだけというのがちょっともったいない感じだ。

 せっかくなのでお風呂を堪能し、夜景を見ながらジェンと話をしてくつろいだけどね。こういうところに泊まることもそうそう無いだろうからね。さすがに制約はしたよ・・・。



 ちなみにこの会合は国王陛下も知ることとなったらしく、あとで説明を求められてしまった。「建国祭を出汁にされたのか?」とちょっと落ち込んでいたみたい。

 ジョニーファン様が建国祭にやってくるというのはかなりの誉れだったようだったからね。彼が国から出ることがほぼ無かったらしく、今回は”あの”ジョニーファン様がわざわざやってきていると話題になっていたようだ。

 ジョニーファン様も認識阻害の魔道具や魔法を使っているみたいで行動は把握されていなかったようなのでまだ大丈夫だったけどね。うちにやってきたとばれたらしゃれにならないよ。




 そのあと風の翼達の護衛とともにオカニウムのカサス商会の支店長フラールさんやアーマトの支店長のユニスさん、アキラさんやマラルさんもやってきてジェンは久しぶりの再会に喜んでいた。

 驚いたのはメイサンさんとルミナさん夫妻も一緒にやってきたことだ。案内は出していたんだけど、往復で1ヶ月近くになるのに宿は知り合いにお願いしてやってきてくれたらしい。これにはジェンはかなり感激していた。

 本人達はこんな時くらいしか王都にやってくる機会もないからと決断したようだ。移動費はカサス商会が持ってくれるということもあってやってきたらしい。



 結局今回の結婚式に参加するのはかなりの人数になってしまった。

 王都からはクリスさん関係の5人(クリス、スレイン、アルド、イント、デルタ)、カサス商会の5人(コーラン、サクラ支店長カルニア、魔道具部門のトルイト、錬金部門のカルク、調合部門のサルファニー)。

 アルモニアからはジョニーファン様、護衛の3人(サルマン、デイストリフ、ヤルマン)。

 ハクセンからはラクマニア様の家族6人(ラクマニア、奥さんのスレンダ、次男のルイアニア、奥さんのタスマール、息子のソラニア、娘のクリスティファ)と護衛の2人(面識はあるくらいの人だが、護衛のために参加)。

 他のカサス商会から3人(オカニウム支店長フラール、アーマト支店長ユニス、ルイサレム支店長ステファー)。

 オカニウムから4人(アキラ、マラル、メイサン、ルミナ)。

 アーマトからは風の翼の3人(フェルマー、カルマ、ニック)、クラーエルの2人(クーラスト、アマニエル)。

 あと、式の護衛をかねて参加してもらったのは王家の剣の4人(ランドリア、マルニキア、デルミスト、ミスカルト)だ。


 実は国王陛下と王妃殿下も参加したいようなことを言っていたらしいけど、さすがにそれは断らせてもらった。いくら形式上の爵位があると言ってもそれはちょっとまずいよ・・・。

 ただこれだけでもかなりの豪華な内容というのが・・・。なので基本的に結婚式は非公式に行っている。まあ一般人の結婚式という装いなんだけどね。なので警備をお願いしている冒険者とかにも詳細はふせている状態だ。



 皆が来る前に結婚式の準備はほぼ終わらせておいてよかった。ただ結婚式でやることをいくつかお願いしていたのでその段取りだけは説明しておいたけどね。ラクマニア様の孫のソラニア君とクリスティファちゃんには結構重要な役をお願いしたからね。

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