105. 異世界468日目 北の遺跡へ
翌朝、朝食をとってからすぐに出発する。今回は車を使えないので走っての移動だ。2日ほどかかると言うことなんだが、おそらく1日で到着できるのではないかと思っている。
途中までは草原という感じで走りやすかったんだが、途中から木々が増えてきて走りにくくなってきた。そうはいっても一応歩くための道は作られていたから走れないレベルではなかったのでよかったんだけどね。途中の道案内も随所に出ていたので間違ってはいないはずだ。
出てくる魔獣は並~上階位くらいで倒すには特に問題ないレベルだったので助かった。良階位の魔獣は遺跡のさらに奥にいるらしいので大丈夫と言うことなんだが、注意しておくに越したことはない。
久しぶりの走っての移動だが、重力軽減もかなりできる上に筋力もついているので予想通り夕方には遺跡に到着する。
簡易なものだが、柵が作られてその中に複数のテントや簡易な小屋が建てられていた。ここが野営地になるのかな?今まで見てきた前線基地のような感じだ。
門に近づくと、警備をしていた兵士に呼び止められる。まあこんなところに急に兵士以外がやってきたら驚くな。特別依頼の紙とジョニーファン様からの手紙を見せると態度が一変してすぐテントに通してくれた。
「こちらでお待ち下さい、すぐに上のものを呼んできます。」
そう言って案内してくれた兵士はテントを出て行った。
「ジョニーファン様の手紙の威力かな?」
「そうかもね。やっぱり手紙を書いてもらっておいて正解だったでしょ?」
「たしかに依頼書だけだったらただの冒険者として扱いがひどかったかもしれないね。」
しばらくして上司と思われる男女の兵士が入ってきた。
「はじめまして、ここの遺跡の調査を指揮しているサルマン・クリファーだ。こっちは副官のデイストリフだ。」
「デイストリフよ。よろしくね。」
「はじめまして、アースというパーティーを組んでいるジュンイチと言います。こちらはパーティーメンバーのジェニファーです。」
「ジェニファーです。よろしくお願いします。」
「ジョニーファン様から遺跡の調査に協力してやってくれと言われている。どこまでできるかわからないが、希望があればデイストリフに言ってくれ。
すまんが、いろいろと仕事もあるので、これで失礼させてもらう。私に用事があるときもデイストリフに言ってくれれば取り次いでくれる。」
「ありがとうございます。」
サルマンさんがテントから出て行った後、デイストリフさんが少しほっとしたような感じになった。
「改めて自己紹介するわね。私はこの調査団の副官を務めているけど、副官は全部で3人いるわ。一人は遺跡の調査、一人は遺跡の調査の資料のまとめ、私は人の手配やこの拠点の管理を補佐しているの。」
「自分たちはヤーマン国から来た冒険者です。先日ジョニーファン様に指導してもらい、今回の調査にも協力するように言われました。古代ホクサイ語もある程度読むことができます。」
「ジョニーファン様から直接指導を受けたの!?」
「えっ、ええ。数時間だけですけどね。とても有意義な話ができました。」
「うらやましい~~~!!ジョニーファン様からちょっとでも指導受けるだけでもかなり名誉なことなのに数時間って、どれだけすごいの!?」
これ数日ってほんとのこと言ってたらやばかったな。
「いえ、実力は冒険者の上階位レベルですよ。魔法の威力とかもそれほどすごいわけではありません。魔法についての持論に興味を持たれていろいろ話をしたんです。」
「それでもすごいわ~~~。」
しばらくして正気に戻ったところで話をすすめる。
「自分たちが希望するのは宿泊するための場所の提供、食事が可能ならば食事の提供、遺跡の情報の提供、遺跡内への立ち入りの許可となります。特に護衛の必要はありませんが、監視が必要であればつけてもらってかまいません。」
「ジョニーファン様の推薦の方に監視はつけないわ。他の件も大丈夫そうね。兵士と同じ扱いになるのでここでの食事代は気にしなくていいわ。ただ遺跡に入るときはちゃんと申請をしてね。
遺跡内は常に兵士が巡回して魔獣を討伐しているので危険はかなり低いけど、やはり魔獣がわいてくることもあるので注意は必要よ。通常は調査員には護衛騎士をつけるんだけど、上階位までの魔獣に対応できるならおそらく大丈夫ね。
もしなにかあった場合はこの魔道具を使ってね。すぐに兵士が駆けつけるようになっているわ。よほど離れていない限りは10分以内には駆けつけるはずよ。」
「ありがとうございます。」
このあと細かい話を詰めてから拠点内を案内してもらう。宿泊の場所は簡易テントを一つ使わせてくれるみたいで内部には簡易テントまで設置されていた。食堂は1日6回提供されており、2種類の定食から好きな方を選んで食べるようだ。他にもトイレ、医療エリアなど案内してもらった。
思ったよりも女性の兵士も多くてジェンも少し安心しているようだ。全部で50人くらいの兵士が2交代で活動しているらしい。兵士は冒険者で言うと上~良階位の実力者でサルマンさんやデイストリフさんは良~優階位の実力らしい。
ちなみに名前を聞いたときに思ったんだが、サルマンさんはこの国の貴族の子息らしい。ただ貴族と言ってもかなりフレンドリーな人らしく、特にかしこまらなくていいと言われる。現場のこともよくわかっている頼れる上司らしいが、その分緊張もするようだ。
一緒に夕食をとったあと、テントに移動する。夕食はまあ普通の定食という感じだった。置かれているベッドは簡易なものなので収納バッグからいつものセットを出しておいた。
「明日から遺跡の調査をするけど、特に護衛はいいよね?」
「大丈夫だと思うわ。何かあったら駆けつけてくれるらしいし。」
「あと、この間ジェンが手に入れた道しるべの玉があっただろ?あれってこの遺跡の場所だったよ。」
「ああ、そういえば北の方にある遺跡って言っていたわね。」
「遺跡に行ったら正確な場所はわかると思うけど、明日確認してみよう。」
「わかったわ。おやすみなさい。」
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