現-5. 現世界7日目 いろいろと・・・
ジェンの恋人宣言がもう伝わっているのか、自分の方をチラチラ見てくる奴らが多い。そう思っていたら友人の海東が声をかけてきた。ゲーム仲間でよく一緒につるんでいる友人の一人だ。
「なあなあ、ちょっと聞いたんだけど、ジェニファーさんと付き合いだしたんだって?」
「いや、友達の一人だよ。付き合っているわけじゃない。」
「朝、ジェニファーさんが恋人宣言したってみんなが言っているぞ。いつのまに・・・。」
「いや、さっきも言っていたんだけど、この間のダンスの後でちょっと話す機会があって色々と日本のことを説明していたら慕ってきてくれたという感じだよ。恋人じゃないよ。」
ジェンにはあのあとこれ以上余計なことは言わないように言ったんだけど大丈夫かな?
どうも周りの人間が聞き耳立てているみたいで、教室内がえらく静かになっている。みんなちょっと露骨すぎない?そう思っていると教室に先生がやってきた。
「えらく静かにしているな。いつもこのくらい静かだと先生もうれしいけどな。」
朝の朝礼が終わってから授業が始まるが、休み時間は隠密のスキルを全開にして教室を出て避難していた。さすがに休み時間のたびにいろいろ聞かれても面倒すぎる。
昼休みにはメールしていたとおりジェンとこっそりと合流。あの後のことを確認すると、色々あったけど、とりえず友人と恋人を言い間違えたと言うことで納得してもらったらしい。まあ現場を見た人間は表情とかから友人という感じには受け取らなかったかもしれないけど、これで少しは収まってくれるかな?
教室に戻ると、ジェンの言ったことが広まったみたいで、恋人宣言はなかったことになったようだ。助かった・・・。「それでも友達になれただけでもうらやましいな。」と海東は言っていたけどね。まあ友人と言うだけでもうらやましがられるか・・・。
放課後に先生から呼び出されたので、何事かと思って職員室に行くと、今朝の件について少し聞かれることになった。
「朝にジェニファーさんのことで少しもめていたらしいが大丈夫だったのか?」
「ええ、この間のことでジェ・・ジェニファーさんと少し仲良くなったんですが、それを不快に思った人もいたみたいで少し絡まれました。少し言い合いになりましたが、ジェニファーさんが説明してくれたみたいなので大丈夫だと思います。」
「そうか、大岡とジェニファーさんが付き合っているという話も耳にしたんでな。まあ生徒同士がどういう付き合いをしようとかまわないんだが、節度は持って付き合ってくれよな。」
「わかりました。」
このあと連絡があったのでジェンのマンションに行ってから少し話をする。どうやら両親が日本行きをかなり心配しているらしく、あちこちに確認をとっているらしい。今までも何人か女友達として報告している人はいるが、男友達としての報告は初めてらしい。
「イチのことは恋人と言うことで報告したの。それでね、急な話だけどうちの両親がイチに会いたいと言っているようなのよ。まだ日程は決まっていないけど、大丈夫?」
「今後のことを考えると会わないわけにはいかないだろ?まあ何を言われるのかわからないけどね。でも大丈夫なの?両親とも忙しいと言っていたと思うけど。」
「日本に仕事で来ることがあるみたいなので、調整すると言っているけど、日程はまだはっきりと決まっていないの。」
「わかった、日程が決まったら言ってくれ。特に何をやっているわけじゃないから大丈夫だと思う。ただできれば休日の方がいいけど・・・無理だろうね。」
ある程度要件を済ませてから帰宅する。うーん・・・普通の高校生活には戻れるのかなあ?まあこの間話したとおり、少なくとも高校の間は表だって動かない方がいいだろうな。せっかくなので高校生活を満喫したいよ。
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