63. 異世界260日目 海賊の住処を家捜し
島上陸11日目
自分の持っていた収納バッグはいったんすべての荷物を出してからジェンが使うことにして、新しく手に入れた方は自分が使うことになった。
収納バッグはゲームのようなイメージで表示するようにしていたのでそのイメージをジェンにも伝えておく。まあこの辺りは自分の使いやすいようにカスタマイズしていくしかないだろう。
今日からあっちの部屋で泊まろうと言うことになり、荷物をすべて回収していく。せっかくなので加工したテーブルなども収納バッグに入れて行くことにした。まあ容量は十分だからね。造った拠点についてはこの後どうなるか分からないのでまだ残したままだ。
昨日と同じように入口へ行き、ここから調査を再開する。入口付近は自然の岩と加工された岩があり、やはり加工された方は土魔法では何もできないし、堅くて壊すこともできない。おそらくなにかしらの魔法が付与されているのだろう。これはこの解除方法を知らないと穴を開けることはできないだろう。
通路に入り、地上からチェックした地図と対比しながら昨日以上に壁を調べながら通路を進む。通路には明かりが付いているが、これは通路の中に埋め込まれた魔道具のようだ。やはり魔素の供給はどこからか行われているのだろう。
途中にあった部屋にはやはり特になにもなく、海賊達が使っていたと思われる家具などの残骸だ。もともとそれほど質が良くなかったのと、海風のせいで朽ちてしまったのだろう。
港には地球にあったような荷下ろしのクレーンがないが、おそらく魔法があるせいで必要がなかったのかもしれない。天井はかなり高く、上に上がる階段もあった。階段は岩をくりぬいたように作られているので特に朽ちてないので登ってみたが、上の方にあるスペースのところにつながっているだけだった。ここに小屋とかでもあったのだろうか?
道しるべの玉で位置を調べてみると、登録されている場所がここになっていたので転移の時にやってくる場所としていたのかもしれない。
表示する位置について“とい”、“めい”、“うら”をそれぞれ個別に念じてみると、数字が2桁ではなく、小数点以下の数値も出てきた。やっぱり登録地点はかなり細かい位置まで登録されていると言うことだな。
港の水路の出口に行ってみたが、扉を開けたときは幻影だけでなく、風などの侵入も塞いでいるようだった。風魔法と光魔法なのかなあ?壁の方を見てみると刻印がいくつか描かれていた。刻印に使われている文字は何の文字か分からないが、古代の魔道具などに使われている文字と同じ感じだった。
外から見ると全くわからないし、外に出たところにある岩場も自然な感じなので遠目で見たらここに入れるとは思わないだろう。
埠頭には船などもないので特に探すものはない。もしかしたら水の中に何か沈んでいるかもしれないが、正直潜って探すには厳しすぎる。水魔法のレベルが上がったらモーゼのように海面を割ることができるのかねえ?
続いて倉庫に行ってからお酒関係を収納していく。割れているものもあるので割れていないものだけを選んだんだが、全部で185本あった。ワインやブランデー、ウイスキーなどいろいろなものがあるが、鑑定でカビが生えていたり、腐っているものを除くと166本となった。ただここまで古いものがちゃんと飲めるのかどうかはわからない。
「お酒ってそんなに腐るものではなかったよね?とりあえず持って帰るか。」
「他の人に聞いてからどうするか考えましょう。ちょっと飲んでみたいしね。ワインとかはダメかもしれないけどブランデーとかの蒸留酒なら大丈夫なはずだわ。」
割れた瓶や中身がダメになったものは錬金でまとめて一つの固まりにしておく。こういうときはかなり便利だな。木材関係はいったん収納バッグに入れておいた。あとでまとめてどこかで処分した方がいいだろう。部屋全体にも浄化魔法をかけて綺麗にしておく。
続いて小部屋になっている部屋を調べていく。台所の機能は動いているが、冷蔵庫などかなり汚れがひどいので浄化魔法をかけておく。さすがに魔法なので油汚れも一発だ。まあ普通の人はここまできれいにできないだろうけどね。
調理道具や食器なども結構あったんだが、調理道具は鉄製のものがほとんどだったのでさびて使い物にならなくなっていた。使えないものは錬金でインゴットにしてまとめておく。皿なども壊れていないもの以外はゴミとしてまとめておいた。
食堂もテーブルはほとんど朽ちており、食堂の片隅が武器置き場になっていたようなんだが、すでにボロボロのものばかりだ。一応鑑定してみるが、もともと低レベルのものばかりだったみたいで使えるものがない。しょうがないのでこれもインゴットにしておく。なんか収納バッグにゴミばっかり貯まっていくなあ・・・。
このあと各部屋に入ってみてみるが、大体の家具はかなりボロボロになっていた。部屋の中を浄化してから机の引き出しやベッドの下などを見ていくと、ちょこちょこ魔獣石や宝飾品などがでてきた。さすがに部屋の数も多いので思った以上に時間がかかってしまう。
収納して分別できればいいんだが、さすがにそれはできないので探すのは一つずつやっていくしかない。まあもともとそんなたいしたものがあるとは思えないんだけどね。確認の後はすべて取り込んで部屋を浄化していく。
さすがに部屋数も多いし、見るだけでも結構かかるので、調査は1日で終わらなかった。使える家具はすべて食堂に移動させておく。いくつか使えそうなテーブルやベッドもあったので助かった。とりあえずこの部屋を拠点としよう。
台所で料理をするが、さすがに大人数用に作られているのでかなり使い勝手がいい。追加で必要な調理用具はインゴットにした鉄から造った。錬金を覚えてきて正解だったよ。
ここだと特に臭いも気にしなくて良さそうなので気が楽だ。ゆっくりと食事を楽しんだ後は、お茶を飲みながら持ってきたデザートでまったりとくつろぐ。
「どう考えても古代文明の遺跡だよね?」
「そうね。どう考えても今の文明よりも高度な魔道具が使われているからね。ただ古代文明の遺跡は稼働しなくて風化が進んでいるという話だったと思うけど、なぜこの遺跡は機能を保っているのかしら。」
「普通に考えると魔素の供給がなくて朽ち果てていくんだろうけど、ここはどこからか魔素が供給されているんだよね。魔獣石を作る技術が一部できあがっていたのかねえ?」
とりあえず現段階ではなんともいえないが、海賊が拠点にしていた気持ちも分かる。どう考えても空調管理されているし、魔道具も便利だからねえ。
島上陸12日目
この日も朝から家捜しだ。全部で50部屋近くあったので時間がかかったのはしょうがないが、なんとかすべての部屋の確認を完了する。特に隠し扉などもなかったと思う。
収納していた木やごみなどの残骸関係は地上で焼いてしまうことにした。まずは木片関係を取り出して魔法で粉砕していく。すると中から装飾品が少し見つかった。どこかに隠していたのかな?
他の人に変に見つかっても困るので日が落ちた後で火魔法を使って一気に焼いてしまう。何回か魔法を連発すると思ったよりも早く炭になってくれたので助かった。そこまで煙も出ていないと思う。
残った灰の中を調べてみると溶けた金属が少し見つかった。金属は金みたいなのでまだ装飾品とかがあったのかもしれない。まだ木の中に隠し場所とかがあったんだろうなあ。ダイヤとかあったら燃えてしまったかもしれない。
結局手に入れたのは魔獣石が126535ドール、指輪や腕輪などの宝飾品が32個と溶けた金だった。まあこれだけでもそれなりの収入だから労力以上の利益はあったと思っておこう。
宝飾品は特に気になるものもなかったのでどこかでまとめて引き取ってもらうかなあ?
部屋もすべて綺麗になったし、気持ちもすっきりだ。シャワールームが分かれていないので交代で入らないといけないが、それでも綺麗なお湯が出てくるシャワーはありがたい。
「の・ぞ・か・な・い・で・よ・ね!」と念押ししていくのは覗けと言うことなのか?もちろんのぞきなんてしないけどね。
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