61. 異世界256日目 海賊のアジトと思われる場所を発見

島上陸7日目


 まずは大まかに調査していこうと言うことになり、50キヤルド間隔くらいで地下の探索をやってみる。深さ10キヤルドくらいのところで堅いものがあってその先が探知できないところが結構ある。岩盤でもあるのだろうか?とりあえずその堅いエリアを把握していこうと言うことになり、地図の上に地下の状況を記入していく。


 森以外は二人で手分けして島の全体を調査してみると、島の4割くらいに固い岩盤のようなところがあった。この岩盤の中に空洞でもあるのかなあ?間隔を狭めてから調査をして、岩盤のような位置を把握していくが、さすがに時間がかかって、島全体の調査をするのに3日ほどかかってしまった。



 調査をしていると、西の草原の方に通路のように岩盤がつながっていることに気がつく。山や森を後回しにしていたらもっと早く発見できていたんだが、まあしょうがない。


 もしかしたら出入り口かもしれないと位置を確認しながら進んでいくと、断崖の方へと伸びていた。ロープで安全確保をしてから土魔法で階段を作りながら降りていくが、やはり岩があるだけだった。この奥に通路みたいなものがあるのは間違いなさそうなので土魔法で穴を掘ってみる。

 かなり時間がかかるかと思ったが、少し掘ったところで穴が開いた。どうなっているのかと穴を広げていくと、中が空間になっていてその奥にドアがあった。もしかしてわからないように隠されていたのか?


「みつけた~~~!!」


 上で待っているジェンに声をかけてから、とりあえず作った階段をもう少し補強してロープを固定し、ジェンにも降りてきてもらう。特に鍵や罠もなかったのでドアを開けてみると予想通り通路になっていた。とりあえず隠れ家と思われる場所の可能性は高そうだ。

 すぐに調査をしたいが、もう時間も遅いのでいったん拠点に戻ることにする。ジェンは「え~~~~!!」と不満顔だったけど、何があるかわからないから体調は万全にしておかないとね。


 明日からの探索でテンションが上がっていることもあり、食事中もいろいろと会話が弾んだ。どうにか落ち着けて眠りにつくが、なかなか眠れなかったのは仕方が無いだろう。寝たのは結構明け方になってからだと思う。



島上陸10日目


 あまり寝ていないはずなんだが、興奮しているのか目覚めはバッチリだ。ジェンも同じような感じらしい。ロープなどのグッズや治療薬など必要なものを持ってから昨日の場所へと向かう。



 かなりボロボロになっている金属製のドアを開けると洞窟のようなこもった空気ではなく、風も感じるのでおそらく酸欠などの心配はないだろう。一応魔道具で安全君という検知器のようなものも持ってきているのでそれを見ても大丈夫そうだ。

 空気中に酸素というものの存在は分かっているようなので、それが少なくなるとランプが付くというものである。鉱山などではアラームタイプがあるらしいが、さすがに冒険者には危険なのでライトで知らせるタイプを買っている。



 通路を少し入るとかなりキレイに整備された通路になった。しかも照明のようなものが付いており、通路が明るい。罠に注意しながらしばらく歩いて行くと、半分朽ち果てたドアがあった。ここにも特に鍵はかかっていない。

 その手前の壁にスイッチがあった。どう考えても電気のスイッチみたいなんだが大丈夫だよね?罠の確認をしても特に異常もないのでスイッチを切り替えると電気が消えた。


 中に入ると、少し広めの部屋で、テーブルなどが置かれていたのか朽ち果てた木材の破片などが転がっていた。割れたお皿などもあるので一応生活していたような感じだ。その奥にも扉があったが、こっちのドアもかなりボロボロになっていた。まあ潮風に晒されていたら劣化も早いよな。


 ドアを出ると真っ暗な通路がつながっていた。ドアの横にスイッチがあったので確認してから切り替えると通路に電気がついた。どう考えても居住区だな。


 通路はその先で右に曲がっており、徐々に下に下っている。注意しながら進んでいくと、その先が大きな部屋になっているようだ。注意しながら外をのぞいてみると、そこは埠頭のようになっていた。


「ここか!!」


 もし誰かいたら困るので小さな声で話す。


「イチ、やったね。間違いなく海賊の拠点だよ!!」


 ジェンもかなり興奮しているようだ。


 索敵をしても何も反応がないので、あたりを確認しながら扉を出る。かなり明るいので外に出たのかと思ったが、まだ洞窟の中だった。天井部分にかなり明るい照明のようなものが付いているために外にいると思ってしまった。地面は通路と同じようにかなり綺麗に整備されている。


 埠頭の先には外に出るような水路があるんだが、こんな洞穴とかあったかなあ?水路に沿って通路があったので歩いて行くと、行き止まりになっていた。水路は外につながる感じになっているんだが、どういうことだろうと調べてみると、壁のところにスイッチらしきものを発見する。

 もしかしたら罠が発動することも考えられるが、罠探知には何も引っかからない。一応周りを警戒しながらスイッチを入れてみると、壁が上に上がっていき、外の風景が見えてきた。おお~~~、すごい。

 そこから先は岩場のような感じの通路になっていたので出てみると、出てきたところが岩場になってしまった。

 「えっ?」と思ったら、後から来ていたジェンが岩の中から現れた。ジェンも驚いているが、岩に触ろうとすると手応えがない。どうやら隠蔽のための魔法が使われているみたいで、外から見るとただの崖に見えるようになっているようだ。光魔法か何かで崖を投影しているのかなあ?


 入るときは特に障害もなく中には入れるし、中からだと普通に外は見ることができた。なんかすごい技術だな。もしかして海賊達は遭難とかしてここに流れ着いて発見したのだろうか?そのときは扉が開いていたのだろう。

 こちらの方にも岩場に隠れるようにスイッチが設置されており、ボタンを押すと入り口が閉まってしまった。外からも開閉はできるようである。中に戻ってから扉は閉めておくことにした。



 埠頭の方に戻ると、北側の壁に入ってきた通路と併せて6個の扉がある。まずは一番左側の扉に行ってみると、鍵がかかっていて開けることができなかった。鍵穴はなくて、扉の横にプレートのようなものが埋め込まれているので、もしかしたらここでカードとかで認証させたら開くとか言うやつなのかもしれない。


 その隣は入ってきた通路で、よく見てみると壁にドア部分がはまっているようだった。ドアの横には同じようにプレートもあるので、開いた状態で壊れてしまったとかなのだろうか?


 その隣には大きめの扉があり、その隣に少し小さなサイズの扉が3つあった。一番右の扉は開いていたが、他の3つは鍵がかかっていて開けることができなかった。開いている扉の中を見てみると通路になっていたので後で見ることにして先に他の扉を見てみることにした。


 一番右側の大きな扉は開いたままになっており、中は大きな倉庫のような空間になっていた。20m×50mくらいありそうだ。置いてあった木箱と思われる残骸は食料とかが保存されていたと思われるが、ほとんど崩れてしまっており、中が黒く変色している状態だった。


 お酒と思われる瓶も結構いっぱいあり、いくつかは割れてしまっていたが、かなりの数が残っていた。200本以上はあるのかな?飲めるんだろうか?瓶のラベルはすでに読めなくなっているが、瓶にも刻印されているので何かは分かるようになっている。

 その奥にも同じような扉になっているんだが、こっちには鍵がかかっていて開けることができなかった。地上で調査したときにはこの奥にもかなりの広さの空間がありそうなんだけどね。試しに壁を土魔法で壊そうとしたが、強化されているのか、全く崩れなかった。何かの付与魔法でも施されているのかもしれない。



 先ほど開いていた扉の中に入ってみる。スイッチのようなものがあったので、おそらく大丈夫だろうと押してみると通路に明かりが付いた。一番手前にある扉の中に入ると、台所のような部屋になっていた。広さは10m四方くらいとかなり広い。コンロやかなりの大きさの冷蔵庫のようなものが置かれていた。


 コンロのスイッチを入れてみるとちゃんと火が付いた。冷蔵庫の方も稼働していたんだが、中身は朽ち果てていた。中に黒い固まりでこびりついてはいるが、すでに臭いもなくなっている状態だ。動いているところを見ると、どこか魔素が供給されているのだろう?

 冷蔵庫を見ると、魔獣石が組み込まれているわけではなく、コードのようなものがつながっているみたいだ。どこかに供給源があるのだろうか?


 隣の部屋はかなり広い部屋になっており、どうやら食堂のような感じだった。さらにその隣にはシャワールームがあり、ちゃんと水も出るようになっていた。魔道具からの給水なので配管がさびるということもないのが救いだね。その横にはトイレルームもあり、水も流れるようになっている。


 通路のその奥には左右に部屋が並んでいた。一番手前の部屋は鍵がかかっていたが、他の部屋は鍵がかかっていなかったので一つずつ見ていく。


 ベッドや机が置いてあったみたいで、かなりボロボロになっていた。特に遺体のようなものはない。

 一通り見た後、最初の鍵のついた部屋に戻る。魔法の鍵はなく、通常の鍵だけだった。特に罠もなさそうなので開けようかと思ったが、鍵がさび付いていてどうしようもない。しょうがないので力業でドアを壊すことにした。鍵部分はかなり劣化していたのか、あっさりと開いてくれたので良かった。


 部屋の中にはちょっと豪華なベッドと机があり、机の椅子には遺体があった。遺体と言ってもかなり風化が進んでいたんだけどね。

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