36. 異世界160日目 久しぶりのアーマトの町
コーランさんからはお店の宿泊施設に泊まってもいいよと言われていたんだが、久しぶりの町なので宿に泊まると言ってお断りをした。宿代は助かるんだが、泊まると気を遣ってしまいそうだからねえ。
宿はどうするかと悩んだが、やはり前にも泊まっていたカイランにした。一泊朝食付きで600ドールだが、なかなかよかった宿である。受付に行くと前と同じように息子のカインがいた。
「おひさしぶり。今日から5泊したいけど、空いてる?」
「あ、えっと、ジュンイチさんでしたよね?5泊ですか?えー、部屋はどのようにしますか?」
「シングルで2部屋お願い。」
「えっと・・・はい、大丈夫です。一人1泊朝食込みで600ドールとなります。」
「二人分の5泊分で6000ドールね。」
「はい、それでは鍵を渡しますね。」
それぞれに鍵を受け取って部屋に入る。なぜか移動中はずっと同じ部屋にされていたので、一人だとなんかちょっと寂しい感じもするのはしょうがないことかな。
少し荷物の整理をしてからジェンと一緒に宿屋併設の食堂で夕食をとることにした。今回も気に入っている煮込みシチューを食べることにした。ジェンも同じものを頼むようだ。
ここで夕食をとったおかげでコーランさんと知り合うことができたし、そのおかげでジェンとも早く知り合うことができたのでとても縁があるところだ。味も気に入っているし、宿もいいところなのでこの町を拠点にするならこの宿を使っていきたいくらいである。まあ今の自分たちにとっては金額だけがネックかな。
食事の後はシャワーを浴びてから部屋へと退散。前は衣類を洗濯に出していたんだが、今は浄化の魔法で一発なのでありがたい。衣類についているほこりなどを分解、雑菌などを消毒するイメージで使うことでかなりキレイになっている。
ほんとは体も浄化の魔法でも十分なんだが、やっぱりお湯で体を流した方がさっぱりした気持ちになるのは気分だけの問題なのだろうか?もう少し浄化の魔法が上達すれば気にならなくなるんだろうか?
ここはベッドがほどよい堅さでいいんだよなあ・・・と思っているとすぐに眠りに落ちていった。
翌朝、やはりベッドがよかったのか、かなりすっきりした目覚めとなった。ジェンを誘って朝食に行き、ベーコンエッグとパンを食べる。簡単に準備をしてからまずは役場へ顔を出す。
「カイルさん、こんにちは。お久しぶりです。」
「あら~、ジュンイチさんじゃないですか。向こうでは目的の人に会えましたか?」
「ええ、無事に再会できました。そのあとそこで一緒に冒険者活動をしていたんですよ。」
「こんにちは。パーティーを組んでいるジェニファーと言います。」
「あら~、女性だったの?隅に置けないわね。」
「いやいや、普通にパーティーメンバーですから。」
「あら、そうなの?」
なんか怪しい目で見られているように思うのは気のせいか?
「とりあえず護衛の完了証明をお願いします。あと5日ほどはこの町で活動した後、首都までの護衛業務になります。」
「わかったわ~。」
手早く完了証明を行ってくれた。
「あら、ジュンイチさんは上階位への実績ポイントが貯まっているわね~。ジェニファーさんは首都まで護衛依頼が無事に完了したら実績ポイントが貯まるわね。昇格試験はここで受けてみる?」
「いや、試験の対策もあるし、時間も無いのであとで受けることにします。」
「わかりました~。上階位への試験は大きな町では一ヶ月に1回行われていますが、日程は町によって異なりますので注意してください。試験の内容ですが、上階位は学識試験、実技試験の2つがあります。試験は人数にもよりますが、1~2日かかりますので日程を合わせて受けるようにしてくださいね。」
「わかりました。」
とりあえず状況は確認できたのでまたどこかで試験を受けることにしよう。二度手間になっても何なのでジェンの実績がたまるサクラで受けるのが一番かな?
実質今日を入れて4日間あるんだが、明日と明後日くらいは狩りに行くかな?今日は久しぶりのアーマトの町でも散策することにしよう。
ジェンと一緒にいくつかのお店に寄ってみるが、大体のところで「嫁さんか?」と言ってくるのは勘弁してほしい。どう考えても自分じゃ相手にされないレベルだって。あくまで同郷と言うことで一緒に行動してくれているだけだって。
お昼は久しぶりにカレーライスをいただく。あっちにはなぜかなかったからなあ。ジェンの好みを聞いてみたんだが、好き嫌いはほとんどないらしく、何でも食べるようだ。ただやっぱり魚よりは肉が好きらしい。
このあとは鍛冶屋に寄ったり、買い物をしたりしてから夕方に役場に行って他の冒険者達と話をする。でもってここでも同じ突っ込みはやめてほしい。
クーラストさんとアマニエルさんにも会いたかったんだが、どうやら遠征に出ているようなのでしばらくは戻ってこないようだ。まあしょうがないな。
ユータとカナにも会ったので一緒に夕食をとることにした。二人ともに並階位に上がっており、大分戦闘にも慣れてきているみたい。今は2、3日の遠征で魔獣を狩っており、当初考えていたとおり、ユータが前衛で、カナは魔法で補助をしながら攻撃に加わっているようだ。
ユータは残念ながら魔法の威力はあまり上がらなくて狩りにはほとんど使っていないらしい。それもあってか二人パーティーだと厳しいみたいでどうしようか悩んでいた。
自分たちも二人で戦闘をしているが、魔法での足止めを使うことでうまく回っていることを説明する。どうやらあまり足止めと言うことは考えていなかったようだった。
この辺りの狩り場の状況についていろいろと話をして1時間ほどして二人と別れて宿に戻る。今日もシャワーを浴びてさっぱりしてから眠りについた。もちろん日課にしている勉強などは忘れないでやっている。
翌日から2日間は近くの森で狩りをすることにした。近くと言っても移動が早いので、普通は遠征で行くエリアである。生息しているのはいつも狩りをしている魔獣だったのでそこまで苦労もなく狩りをして2日間で稼ぎは12000ドールとなかなかの稼ぎとなった。
毛皮関係は浄化魔法をかけて処理をしているし、血抜きも水魔法で処理しているので、買取のお店ではかなり高評価で買い取りしてくれた。ほんと魔法は便利だなあ。他の人たちも浄化魔法で綺麗にはしているようだけど、聞いている限りレベルが違うようだからね。
最後の1日はなにかいいものがないかと二人で買い物をしたりのんびり食事をしたりしてゆったりと過ごした。まあ特に目新しいものは見つからなかったけどね。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます