つつましい幸せでいいんです
昔むかし、学園の平民メイドに恋をした若き貴族がいました。
大恋愛の末、平民としての生き方を選んだ若き貴族は、自分の娘もに同じ学園へ通わせることを夢見ていた。
■今日は私が王都にある学園の初等科一年生として入学する日。
いそいそと準備をしていると、お父様がやってきて、私に外へ出るよう言う。
「え? 何? お父様、急に何?」
家の前には一台の馬車が待っていて私は強引にその馬車へ乗せられた。
そしてお父様は、私に黎明《れいめい》魔法学園へ登校するんだよと教えてくれた。
何と私は、不合格と思い込んでいた黎明《れいめい》魔法学園に合格していたらしい。
喜ぶお父様と対照的に、私の気持ちは沈んでいく……。
だってだって。
黎明《れいめい》魔法学園は、私の前世で愛読していたラブコメ漫画の舞台なんですから。