Track.6-33「その言葉を信じたいと思います」
そもそも、
探したい者の所有物や身につけていたものを通じて、その者がどこにいるかを探る魔術だったのが、失踪した者を探し出しそれが死んでいたという結果が多く見受けられると、やがてそれは“死者を探す魔術”として広く知られるようになった。無論、故人の遺失した遺品や隠された遺産を探すこともあったが、やはり“死者を探し出す”というイメージが先行して横行した。
はるか遠い昔、魔術は全くと言っていいほど細分化されていなかった。
死体探しを行う魔術士は同時に、傷ついた人を癒す
そして死体を探し出し、遺族が乞う見込みの無い治療のために
しかしそれでも
いつか死を覆すことを夢見、待ち望んでいたからだ。
とは言うものの。
もし死が覆るのであれば、逆説的に生も覆らなければおかしい話となる。そして覆った生とは、つまり何者も生まれない無の地平に他ならない。
それは生前のソレの記憶の一部と僅かな性格・性質を受け継いだだけの異なる存在だ。
剰え、死体の鮮度と
長い年月を経て物理的あるいは霊的に風化した死体は、
また、秒刻みで術を施したとしても、
それでも。
悪しき
無論、故人を生前の人となりに似せることに意味がないわけではない。裏社会に名を馳せる
現代、魔術の系統が細分化された魔術業界においては。
だから。
それはただそれだけのことであり――四方月航は、ただそれだけのことではららを、またそれを知っているか知らないでいたかに関わらず、彼女を擁するリーフ・アンド・ウッドを責めることは無かった。
「先程も言いましたが、問題なのは土師さんが
「それは――――有り得ません。私が
その遣り取りの裏で、航は心に無音通信で瞳術を行使するよう指示していた。
瞳術の名は
心もやはり付け焼刃ではあるが相当な精度の
『四方月さん、土師さんは嘘を吐いていません』
『そうか、分かった――――ありがとうございます。私共も、その言葉を信じたいと思います」
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