―とある謎の少女の独白―

 ――ああ、今宵も始まってしまった。


 地獄のような悪夢。あらゆる想いが牙となって襲いかかる悪夢。

 そこで待ち受けるのは怪物……いや、人間だったか。見た目は怪物でも人間であるのだから。むしろ人間であるからこそ、夢の中で怪物となってしまうのだから。


 それからは決して捕まってはならない。けれども、逃げてはならない。

 彼は知らなければならない。彼女たちが心に秘めた想いを、底知れぬ闇を。




 だから、たとえ彼が深淵を覗くことになったとしても。

 ――幸せな選択を取られるまで、あるいは狂うまで私は待ち続けるのだろう。

 雁字搦めにされた、籠の外で、ずっと、ずっと、ずっと、……1人ぼっちで。

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