第40話 プラスチックごみを捨てに行った
結局百合香ちゃんを見つけられずに諦めた俺は、ラーメンを食べに戻る勇気もなく、同人誌の中古ショップで同人誌を立ち読みした。20分くらい探してみたが、買うほどのものもなかったので帰った。
そして夜。PM8:10である今。
俺は昨日の苦い味噌汁の残りを温め、一人で食べている。
「苦いな、やっぱ」
正直言って、味だけだとインスタントのほうが美味しい。
というかこれ、腹を壊さないだろうか。
「壊すかもな」
心配になってきた。ねぎが細菌の増殖を抑えて……くれないか。
きっと百合香ちゃんは家に帰っているだろうが、俺は謝れずにいる。まだ怒っているのは確かだから、今話しかけると余計に気分を害するのではないか。余計に気まずくなってしまうのではないか。なんて考えている。
「ダメだ、こんなんじゃ。コンビニ行くか」
気晴らしだ。歩いて対策でも考えよう。
「……」
コンビニに行く、ということ。
それは当然、コンビニから家に帰ってくることを意味する。
以前、コンビニからの帰り、ゴミ捨て場に百合香ちゃんがいた。
「…………あり得る」
あり得る、そう一回思ったが最後。あり得るとしか思えなくなり、絶対いるという確信に変わる。
つまり、今まさにゴミ捨て場に座っている可能性がある。
「あ、今日木曜日だ」
木曜日。翌日の金曜日はプラスチックごみ、カン・ビン・ペットボトルごみの回収日だ。
プラスチックごみ、カン・ビン・ペットボトルごみは、めっちゃ溜まっている。今週を逃せば家の中が大変なことになるのは目に見える。
「やむなし。また拾うか」
量が多い。プラスチックごみを先に持って行こう。
ゴミ袋の口を結んで、ひっつかむ。
(いませんように)
多分いる。ゴミ捨て場で拗ねている。
やれやれ、手のかかる隣人だ。
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