第402話 始終始終始
「そ、それで具体的にどのようにしてその吸血鬼を鍛えようとしているんだ?」
「いやーそれなんですが、彼、どうやら自分に行っていたことを吸血鬼にもやらせようとしているみたいで……」
「自分に行っていたこと?」
「はい、とにかく体を徹底的に痛めつけることによって耐性を獲得する、というものですね」
「あ、あぁそれか」
「まあ、全プレイヤーに向けて大々的に情報発信するよりかは、NPCである吸血鬼にだけ教えるというのは幾分もマシなんですけどね」
「確かに言われてみればそうだな。それで最初は何の耐性からつけ始めたんだ?」
「えーっと、日光です」
「に、日光!?」
「はい。吸血鬼は日に当たるだけでもダメージを受けてしまいます。それを克服する為に日光への耐性をつけようとしているようです。彼自身も吸血鬼に変身していますから彼も日光への耐性を獲得するみたいですね」
「は、はぁ……」
もうどこから突っ込めばいいのやら。日光に耐性のある吸血鬼なんてただのチートだと思うんだが? それに彼も吸血鬼になって耐性を獲得するって言っていたが、彼は別に吸血鬼として生きていくわけではないのだろう? ならば獲得しても無駄じゃないのか?
そんな私の疑問は届くはずもなく、彼と吸血鬼の日光浴が開始された。私たちはその間、何もすることがなく、ただただご飯を食べたり昼寝をしたりと優雅な時を過ごしていた。
その上で彼女はクリエイティブな仕事を、私は片付けなければならない書類作業にも手をつけることができ、とても充実した日々を送ることができていた。もう毎日こんな日々が続けばいいのに、私は本気でそんなことを考えていた。
しかし、どんなことにも終わりは付きものだ。
ついに彼が、そして吸血鬼が日光無効を獲得したのだった。彼は死ねばいいのだが、吸血鬼は死んだら終わりなので、彼がつきっきりで回復をしてあげていた姿を見ると、本気なのだな、と思ってしまった。
強い吸血鬼はこの世にいくらでもいるのだろうが、日光が効かない吸血鬼というのはなかなか珍しいのではないだろうか。これでめでたしめでたし、だな。
「え!? 先輩、彼、ってか吸血鬼今から神聖属性を無効化させるみたいですよ!?」
「は?」
始まりがあれば終わりがある。終わりもあればまた、始まりもあるのだった。
だが、不幸中の幸いとでもいうべきか、彼が吸血鬼を強化している間は彼自身の強化は行われない。だからある意味安心することができるのだ。精神的に非常に安定して生活を送れるというのはとても有難い話だ。
そして、
「はぁ、やっと神聖無効を獲得してくれましたね! 退屈だからさっさと終わって欲しかったんですよね全く。って、え? また何かやるつもりなんですかこの人たち……ニンニク!?」
「ニンニク!?」
おいおい、それ本気で言ってるのか?
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空中楼閣→空前絶後
というわけで今回は「ご」です!
やってみて思ったのですが、私が知らない単語の方を採用する可能性が高いと感じました!語彙力アップに繋がるので!(これで鍛えようとするな
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