第289話 聞く力


「それで第四階層なんですけど」


「ちょっと待った。そのピンクアトランティック、、なんだっけサーモンはどうしたんだい?」


「はい? ピンクアトランティックキングサーモントラウトのことですか? そりゃ食べたに決まってるじゃないですか! 彼、とても美味しそうな顔をしてたので、どんな味だったか気になりますよねー。後で私もやってみましょうかね?」


 そ、そうか。って、まあそれもそうか。食べる為に生み出したのだからな。食べられたピンクアトラ、、、サーモンはどんな気持ちだったのだろうか。


「あ、そうそう忘れてました。彼、サーモンを弄り回しすぎて、あと食べ過ぎて、寄生共存というスキルと、マッドサイエンティストという称号を手に入れたんでした!」


「は、はい?」


「寄生共存っていうのは、寄生生物と一緒に共存できるスキルで、HPかMPを与え続けることで寄生生物の能力や特性が使用可能になる、っていうスキルですね。彼の場合はMPが無限なので使い放題なんですが、彼のスペックを超える寄生生物がいないことで使えなさそうですね」


「お、おう」


「そしてマッドサイエンティストは文字通りですね。効果は命を弄ぶ時に良い結果が出やすくなる、っていうものです。良い結果、というのは……なんなんでしょうか。あと、ついでにモンスターが仲間になりにくくなるようです! 珍しくしっかりとした弱体化ですね!」


「は、はぁ」


 私は情報量の塊で殴られ、一瞬フリーズした。そして改めて女方を咀嚼し直すことでようやく彼女が言っていることが理解できた。


「……えっ!?」


「え、今ですか? 遅くないですか??」


 そもそも、寄生生物の能力や特性ってなにがあるんだ? 現実世界にいるやつだとパッとは思い浮かばないからこのゲーム特有のモンスター? になるんだろうが、そんなに寄生生物に力を入れてるのか?


 もし入れてたとしたら、それはそれで他の事に力を注げよ、と思ってしまいそうなんだが。


 まあ、今回の獲得したスキルと称号はどちらもそこまで彼の強化に貢献した、というわけでもなさそうだから、気にしないでおこう。


 というより、彼に関していえば気にするだけ無駄なのだ。それはもう、今までの多くのことから分かっていることだ、うん。それでも気にしてしまうのはもう病気に近い何かがある。


「では、第四階層の話を頼む」


「お、ようやくですか! 先輩は一人で考えている時、顔がコロコロと変わるんですね。一体何を考えればそんな七変化の顔ができるのか分かりませんが、説明中に変なこと考えたら怒り、じゃなくてスイーツですからね?」


 え、今、怒りって言ったよな。言ったよな!?


 よし、全神経を集中させてちゃんと話を聴こう。目と耳と鼻と心を使って、大丈夫私ならできる筈だ。


 彼女の言葉遣い、間、息遣い、全てを聞き逃さないつもりで話を聞く。


「んぱい、先輩!?」


「はっ、す、すまない。話を聞こうと集中することに集中しようとしていた」


「はい? じゃあとりあえずスイーツカウンターが一つ溜まりましたね」







——————————————————

追い込まれないと執筆を始めない私……


生徒、学生の皆様は宿題は早めに終わらせましょう。その方がきっと貴方のためになることでしょう。


♡の方も早めにお願いいたします!!

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