第32話
「ま、まあ。ニャーネルにはキツくいっておくから、きっともうエンディミオン様に恋人が増えることはないだろう。(ちくしょう、なんだってアイツばっか持てるんだよ。エリアル様だけで我慢しておけばいいものを・・・。)」
「ちょっと待って!!せ、せめてもう一枠!もう一枠だけエンディミオン様の恋人の枠をつくってくださいっ!!」
ガーランドさんがニャーネルさんに言っておくと言ったところ、それまで後ろで跳び跳ねていたマコッチがガーランドさんに待ったをかけた。
オレの恋人枠をもう一つ増やしてほしいと訴えている。
マコッチ・・・。オレは、恋人は一人でいいんだよ。
ミーシャさんだけで、いいだよ。
どうして、もう一枠増やす必要があるのだろうか。
「ふむ。いや、だがなぁ。そもそもこのゲームは恋人は一人しか作れない仕様だからなぁ。二人というのが、そもそも例外なんだ。それを三人にするというのはなぁ。他の奴らに示しがつかない。」
「そこをなんとかっ!!(あたしもエンディミオン様の恋人になりたいのにっ!!エリアル様もミーシャさんもずるいっ!!)」
「マコッチさん。無理を言ってはいけないわ。(マコッチさんがエンディミオン様の恋人になったら私は勝てっこないわ。)」
「そうよ。今の状態が特殊なの。これ以上はやりすぎになってしまうわよ。諦めなさい。(エンディミオン様の恋人をこれ以上増やしたくはないわ。)」
マコッチがガーランドさんに食って掛かるが、それを両側からミーシャさんとエリアルちゃんが引き留める。
おかげで、オレの両側にあった暖かい温もりが消えた。
ちょっと名残惜しい。
「あ、あはははは。まあ、運営次第だな。一人だけの要望は聞けないからな。(くっそー。オレも恋人ほしくなるじゃねぇか。虹色の輝石と猫のぬいぐるみの出現率上げるか・・・。)」
「そ、そんなぁ~~~。」
ガーランドさんの言葉にマコッチはがっくりとうなだれた。
対してミーシャさんとエリアルちゃんは満足気に頷いている。
まるで正反対のように見えた。
「じゃあな。オレはもう行くぜ。これでもギルマスだからな。仕事が忙しいんだ。(これ以上見てらんねぇし。さっさと逃げよ。)」
そう言うと、これ以上は付き合っていられないとばかりにガーランドさんは部屋から出ていってしまった。
残されたオレたちもこの部屋にいつまでも留まっているわけにもいかない。
「あー、オレたちも出よっか。」
「そうね。」
「むー。あたしが猫のぬいぐるみもらえばよかったぁ。」
「あげないわよ。今、私が貴女にあげたところでエンディミオン様が私のものなのは変わらないけどね。」
「やーーーん。エリアル様のいじわるぅ。」
エリアルちゃんがマコッチと言い合いをしながら後ろからついてくる。
そうか。オレ今まで全然気がつかなかったけど、マコッチも猫のぬいぐるみがほしかったのか。
マコッチもゲームだけじゃなくて女の子らしいぬいぐるみにも興味があったんだなぁ。
今度もし猫のぬいぐるみが手に入ったらマコッチにプレゼントするか。
☆☆☆
「ふぁああああ~~~。ねみぃ・・・。」
昼休みの教室でオレは大きなあくびをして、机につっぷした。
結局昨日も夜遅くまでキャッティーニャオンラインをプレイしてしまった。
ログアウトしたのは深夜だった。
でも、みんなとわいわい騒いでいるのは楽しいな。
昨日はみんなとしゃべってばかりで全然レベル上げができなかったけど。
今日こそは帰ってきてからレベル上げを頑張らないと。
「優斗!」
机でだれているオレに声をかけてきたのはマコトだった。
マコッチも昨日は遅くまでログインしてたのに元気だなぁ。
オレがログアウトしてからもまだ活動してたみたいなのに。
「ああ、マコト。どうした?」
「眠そうだね?」
「おう。ねみぃ。マコトは眠くないのか?」
「ぜっんぜん眠くないよ!だって授業中に寝てるからね!」
マコトは笑顔でそういってくるが、それは誉められることではないと思う。
ゲームで夜更かしして本業の勉強をおろそかにするのはどうかと思う。
しかし、マコトに対してそれは言えない。先生だって言えないだろう。
なぜならば、マコトは高校の授業を聞いていなくても教科書を読んだだけで理解してしまうのだ。
授業態度は悪いが、テストの成績はいい。先生方も授業態度を注意すればいいのだが、逆にマコトが授業中に起きていて、質問をされた時のことを考えると気が重いのだろう。
マコトの質問内容は難しすぎて教師ですら回答出来ないのだから。
そんな訳でマコトは授業中やりたい放題であったりもする。
「でね、優斗!土曜日予定があるって言ってたよね?日曜日はどう?あたしの家か優斗の家で一日中キャッティーニャオンラインしない?」
「ん・・・。う~ん。土曜日に美琴姉さんが引っ越してくるんだよ。だから日曜日はもしかしたらマコトの家に行けないかもしんない。」
「あー。美琴さん今度の土曜日に引っ越してくるんだぁ。そっか。じゃあ、日曜日に優斗の家に行ってもいい?時間があったら一緒にキャッティーニャオンラインやろう!でも、EXP2倍チケットは別の日にしようね。」
「ああ。それならいいかも。」
「やった!約束だよ、優斗。」
「おう。」
オレとの約束に、マコトが嬉しそうに笑った。
その笑顔を見ると、オレまで嬉しくなるから不思議だ。
そんな訳で、日曜日はマコトがオレの家に来ることが決まったのだった。。
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