第23話 水瀬愛理 ACT4

俺にとって繭と言う存在は何だろう。


そんなことをふと頭の中でよぎらせたとき、しきいられていた部屋が開けられた。



「どうですか先輩!!!」



興奮気味の水瀬の顔はいかにも『やったぜ!!』と言うというか、なんというかお目当て通りに出来がいいという感じの表情。

たまーに会社でも見せる時がある。


それよりもその横でもじもじしながら恥ずかしそうにしている繭の姿


「ねぇ、どうぉ?」


裸は見られても別に何とも恥ずかしいとも、恥じらう姿も見せなかった繭だったが、今ここにコスプレ衣装を着ている繭のその表情は「恥ずかしいからどうにかして!」と心の中で叫んでいるのが聞こえてきそうな顔をしている。


しかし!!


ま、まずい。これは非常にまずい!


ちょうドストライク。的中!!!


「あ、うん……えーっと」

まともに繭を見ることさえできないくらい、俺は動揺している。


「ん、もうぉ先輩ったら何動揺してんですか?」

「動揺? お、俺が……し、してねぇよ」

と、口では言ってるが……やばい! これはやばいぞ!!


ただでさえ、繭の姿は俺好みの2次元女の子キャラに近いのに、コスプレ衣装を着た繭の姿なんかまともにみたら、俺の理性が持たねぇ。


「あらあら、先輩まともに繭ちゃんの事見れない状態じゃないんですか? 可愛いもんねぇ、それに若いしぃ! 私なんかよりいいですよねぇ」


「なぁ水瀬、俺をおちょくるんじゃない」


「あら、怒っちゃいました? だって、私の方にちっとも視線くれないんだもん。妬けちゃいます」


会社で会う水瀬、そして今ここにいる水瀬、本当にお前は同一人物なのか? もしかしたらこれが水瀬の本性かもしれないな。

でも俺に妬くことはないだろう。


まぁ確かに水瀬もストライクゾーン的中してんだけど、それよりも繭の方が俺にとっては刺激的だ。


本当にマジでやばい。


俺は本気で繭の事を……いや、ダメだ。

繭はまだ高校生だ、年も10いや9だ離れている。


おっさんと女子高生、どっから見てもこれはやばい関係と言う事しか、俺の頭の中では浮かび上がってこない。


「ねぇ、なんかないの?」

繭がじらすように言う。


「か、可愛い……」と、自分が言ったのかどうかさえも分からないが。

繭の顔がゆでだこの様に真っ赤になってるは、さすがに気が付いた。


「さぁてとそれじゃ写真撮りまぁ―す! カメラの方見てね繭ちゃん」


「あ、でも……。これネットとかに流さないですよね」

「ええ、出しちゃダメなの?」


繭はちょっと大きな声で

「駄目です!」と真顔で言った。


あまりにも真剣な顔つきに水瀬がビクっと


「そ、そうだよね。拡散されちゃうもんね、ネットには出さないから私だけのモノにするからいいでしょ」


「そ、それなら」

繭のあの真剣な顔つきは初めて見た。


確かにネットで拡散されれば、何が起きるか分からない時代だ。

しかし、あの拒否した時の顔は危機に迫るものを感じさせた。

いささか異常とまでも言える感じがするほどだ。


「はぁ、でもさぁ繭ちゃん絶対に注目浴びると思うんだけどなぁ。もしかしたら、スカウト来るかもしれないのに、もったいない」


「そんなぁ、水瀬さんだってスカウト来てるんじゃないですか? 本当は」

「なははもうこの年でしょ、もう無理。やっぱ若さは財産だよ。ねぇ先輩」


そんなこと俺に振るな水瀬。それにさっきからその超ミニスカートから見えてる下着が、何とも目のやり場に困る。


それを感じたのか水瀬は、多分わざとだろう……、その白い下着をチラチラと見せつけるように動く。


時折「うふふ」と恵美を交えながら。


「ねぇ先輩、会社にいる私と今ここにいる私。先輩はどっちが好きですか?」


「どっちがって……俺は会社じゃ仕事が出来るお前が好きだ」

「それって、会社にいる猫かぶりの私の方がいいっていう事ですか?」

「いや、そうじゃなくて……。ああ、もう。今のお前も可愛い俺好みだ」


「やったぁ! やっぱり先輩は素の私の方を選んでくれた。正直会社にいる私は自分でも嫌いなんですよ」


「そんなこと言うなよ水瀬。俺はお前の事本当に頼りにしてんだからさぁ」


「そんなこと言われると嬉しいじゃないですか。ずるいですよ先輩。どっちの私も先輩は好きだって言っているようなもんじゃないですか」

「まったく疎いんだから、浩太は……あ、浩太おにいちゃんは。水瀬さん浩太おにいちゃんの事好きなんだよ」


「えっ! な、何言ってんだお前」


「そうだよね水瀬さん」


「え、何言ってんの繭ちゃん」

見る見るうちに水瀬の顔が赤くなっていく。


「いっそのこと付き合っちゃえば。ほら趣味だって共有できる部分一杯あるじゃない。それに……年も釣り合うし。お似合いだよ」


そう言った後に、にヘラと笑う繭。

締まりのない顔、だけどどこか寂しい様なその笑顔。

何となく胸の奥に何かが引っかかる様な感じがする。


あの時、彼奴が俺から遠ざかった時の様な……そんな切ない感じが俺を包み込む。



「馬鹿なこと言うな大人をからかうんじゃない」

「へーい」と舌をペロッと出してまたにヘラと笑う。

今度はいつもの繭のあの締まりのない笑顔だった。



「でもさぁ、こんな逸材が私のすぐ近くにいたなんてほんと偶然。繭ちゃんモテるんでしょ。それだけ可愛んだもん」


「わ、私モテるなんて……そ、そんなことありませんよ。友達もいませんし……。私、ずっと一人だったから……」


「嘘だぁ―、でも繭ちゃんって人見知りなの?」

「そ、そう言う訳じゃないんだけど」


繭の表情が曇り始める。それを察したか水瀬が

「それじゃさぁ、こんなおばさんだけど繭ちゃんの私友達になってもいい?」


「え、友達ですか?」


「うん……て、言うかさぁ、……多分これは私の勝手な思い込みかもしれないけど」


水瀬はその場に座り込み、体育座りをして膝で顔をうずめながら

「多分さ、うん、私繭ちゃんと友達になりたい。そして……ライバルでもありたい」


恥ずかしそうな声、水瀬の方を見ると、あのミニスカートがめくりあがり、白いパンティーがもろに見えている。


それが気になり水瀬から聞えたのは『ライバル』と言う言葉だけだった。


「あ、水瀬さんライバルって、私と浩太おにいちゃんとは従妹だから」

「嘘よね、それ」

「嘘って……」


「ああ、ほんと先輩も繭ちゃんもにぶにぶだよ。ホント鈍いよ。それとも知っててわざと触れない様にしているの?」


水瀬の声が湿っぽくなってきているのが分かる。


「こんなに近くに住んでいて、先輩の姿見ない訳無いじゃない。始めは驚いたけど、でも偶然かもしれないけど目と鼻の先 に住んでいる先輩を私はずっと見て来た。会社でも、外でも。先輩にばれないように。いつの間にか気がついたら先輩は若い女の子をと出歩くようになっていた。

しかもその子は先輩の部屋のお隣に住んでいる高校生らしい子。始めは疑ったけど、何か事情もあるのかもしれないと思っていたけど、どうしても私、抑えきれなくなちゃって……」


だから、その座り方は目のやり場に困るんだよ水瀬


「だから決めたんです。こんなに苦しい想いするんだったら私の本当の姿を先輩にいつか見せて、これが私なんだっていうのを全部見せて、私先輩にもっと近づこうと思った」


俺は水瀬のパンティーを気にしながらも


「それが今日のこの演出だったという訳か?」

「ははは、実はそうなんです。今日二人で出かけるの見かけたから、ずっと後付けてたんですよ。気が付きませんでした?」


「お前はストーカーか!」

「なんとでも言ってください!!」

プイッと怪訝そうに水瀬は言う。


「でもライバルって、私山田さんとはそんな関係じゃないんです」


「表向きわね……でも繭ちゃんあなた先輩の事好きなんでしょ」


「え、あ、……そ、そんな」


「それに先輩も繭ちゃんの事気になりだしてきているように感じるんだけどなぁ。でも私のこの気持ちもまだ収まりがついていない。だから繭ちゃんとは友達になりたい。そして先輩とのライバルにもなりたい」


駄目かなぁ……せ・ン・ぱ・い



「駄目も何もこんな生身の女を愛せない俺を、好きになったってなんの得にもならないぜ。俺はオタクだ、超が付くほど変態オタクのおっさんだ。そんな俺を好きになるなんてお前らの方が俺より変じゃねぇのか」


水瀬と繭はお互いの香を見つめながらプッと噴いた。


「あ、認めちゃった。変態オタクおやじだって」

「そうだね」


「どうする? やっぱキモイかぁ」


「んー多分山田さんの部屋行くと、もっと過激な現実を見ることになるけど」

「キモイ変態オタクおやじの?」

「そうそう」

「マジかぁー」

「心の準備はしておいた方がいいよ」


「そうだね。それとさぁ、生身の女は愛せないって言っていたけど、生パンは物凄く愛しているみたいですね。せ・ん・ぱ・い! さっきからずっと見ていますけど」


「うるせぇ、目に入るんだから仕方がねぇだろ」


「なはは、そんなに見たいならどうぞごゆっくり見てください。どうせ見せパンですからね」




んもぉ、浩太のエッチ!! 

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