第129話 最終進化、黄昏から闇に至る
リンガレングの『魔神、討滅完了!』の声が頭の中に響いた。
その瞬間、俺の
『アラファト・ネファルの魂は全てマスターに配分しました。これで魔神の復活はありません』
『
アズランはすでに意識を取り戻したようで、
アズランの腕については『ヒール・オール』で
俺たちの目の前で、
そして振り返れば、予想通り黒い渦がまたそこにあった。
『帰ろうか』
誰も欠けることもなく拠点に戻り、広間への扉を開けたところ、
『闇の神殿へ』
その言葉が、自然と俺の脳裏に浮かんだ。いやわが
『リンガレングは部品置き場だかにいって、修理だな』
『はい、マスター』
リンガレングが部品庫の前まで行くと、器用に部品庫の扉を開け、丸くなって転がり中に入って行った。
フェアはちょこんとアズランの肩に座って、彼女の髪の毛に手をあてて、落っこちないようにしている。
『俺たちは「闇の神殿」へ行こう』
何も説明はしなかったが、二人はうなずいて俺についてきた。
通路に出ると、今まであれほどいた黒スライムの数がかなり減っていた。そうなると、もったいなく感じるもので、プッチすることもなく『闇の神殿』に歩いて行った。
歩きながら前方を見ると、『闇の神殿』
『ご神体さまが輝いてる。……』
「きっと、わたしたちが魔神をたおしたのを喜んでくれているんですよ」
「われらが
俺はその光に誘われるようにフラフラと池に近づき、水の中に足から飛び込んでガーゴイルの上で光り輝いているご神体さまを両手でくるむように持ち上げて押しいただいた。
今俺の両手のひらでささげ持っているのは、金色の光を周囲に放つ女神の像だ。女神の顔は
その美しい顔が今俺に向かってほほ笑んだ。そう見えた。
そして、像の金色の輝きがさらに強くなり、
一瞬意識が飛んでいたようだ。俺は、下の方から、鎧姿の
横を見ると、コロはいつの間にかナイト・ストーカーの中から這い出て、ガーゴイル脇で丸くなっていた。
そのまま、妙な感覚で数分じっとしていたら、また意識が鎧の中の自分に戻っていた。
気付くと両手のひらの上にあったご神体さまがいつの間にか消えてしまっていた。
俺はなぜだか分からないがそのことを当然なことと理解できた。
池から上がると、ナイト・ストーカーの隙間から水が抜けていく。
コロも俺のあとについて池を泳いで渡り、いまは俺の脇で丸くなっている。
トルシェとアズランが俺の姿をみて、ぼーっと突っ立っている。
「ダークンさん?」「ダークンさん」
「どうした、なにかおかしいか?」
俺の
「ダ、ダークンさん! 声が、声が出てます」
それは驚くだろう。
俺はゆっくりと両手で俺の頭部を覆うヘルメットを持ち上げた。肩まで伸びた
俺は自分の顔を見てはいないがどういった顔をしているのかはわかる。
白味を帯びた
「……、『女神』さま」「……、『
そう、俺は進化の果てに、体?を取り戻し『常闇の女神』となった。いままで、長いこと匂いを嗅ぐことはできなかったが、今は自分の体から
「ダークンさんが女神に」「男から女神に?」
「俺は最後の進化でどうやら『常闇の女神』になったようだ。それはそうと、いまはっきり思い出したが俺はスケルトンになるまでは生まれてからずっーと女だ!」
「えっ、えー! うっそー、まさかの俺っ
「信じられませーん」
「
「私も騙されてましたー」
「それで、女神さまのダークンさん、これからどうします?」
さすがはトルシェ、切り替えが早い。
「そうだな、どうも鎧の下がマッパだと落ち着かないから下着を買いに街に出るとするか。その前に、おまえたちも進化できるみたいだぞ。俺がここで二人を進化させることもできるが、どうする?」
ほう、あやつは、あの世界で
(完)
[あとがき]
ダークコメディーとタグに付けましたが、全くダークにならず申し訳ありませんでした。
約30万字、最後までお読みくださりありがとうございます。
本作は、最初、1話と2話だけの短編をなんとなく思い付きで書いてみたものですが、
本文では、書きませんでしが、トルシェの最終進化先は、『闇の右手』。アズランの最終進化先は『闇の左手』(どっかで聞いた?)でした。
フォロー、♡、☆、感想、誤字報告。みなさん、ありがとうございます。
他の作品もよろしくお願いします。
[解説的何か]
第1話、第2話は、映画『永遠に美しく…』のオマージュのつもりで書きました。中身はだいぶずれましたが、気持ちはオマージュです。
迷宮都市の名前、テルミナは、この部分を最初書いていたころ、ノベルアップでロボット三原則がどうのというコンテストをやってたので、連想でアシモフのファウンデーションに出てくるテルミナスをもじったものです。
『敵は弱いに越したことは無い』を私は出したんですが落選しました。内容はロボット三原則など狂人のたわごととこき下ろしたものなので、当然ですね。カクヨムにも投稿していますのでお暇ならお読みください。https://kakuyomu.jp/works/1177354054912670445
二礼二拍手一礼の礼拝
もちろん神道の参拝作法です。神道の神社はないので、拝礼ではなく礼拝としました。
第98話 『三匹の侍』
むかしこの名の時代劇があったんですが見たことのある方はほとんどいないでしょう。
第100話 『黒炎のアグナ』では、
アグナはインドの火の神さまアグニからとりました。
ドンドコドンドン、ドコドコドンドン、ドンドコドンドン、ドコドコドン。 ジュマンジー!
これはもちろん、
第105話 くりくり坊主の小僧さん
もちろん、一休さん。
第110話 『城塞のバグー』
城塞のバグーの名前は、
なにか防御の強そうなもの→城塞→シタデル→東部戦線でのシタデル作戦→そういえばゲームのマップにバクー油田があったかも→バグーという連想ゲームで付けました。
虎だ! 虎になるんだ! は、タイガーマスクでもいいんですが、
アルフレッド・ベスターのSF『虎よ、虎よ!』です。
第113話 フェア、大進化 での、
来い! 来い、来い、来い、来い!
来た! 来た、来た、来た、来た!
は、ご存じの方は少ないでしょうが空想科学世界ガリバーボーイのパロです。
第115話 魔王城2
ご隠居さま
これはもちろん越後の
第116話
コロ先生は、
しかして、その実体は は、多羅尾 伴内(たらお ばんない)の名セリフから
第117話『白銀のテレッサ』はクレイモアの微笑のテレサのつもりです。
第119話『不死のドーズ』
これは、ここを書いていたころ、ノベルアップでクトゥルフなんちゃらをやっていたので、それらしいのを書いてみました。
「不死のドーズ」の名前は、私の好きだったマイトアンドマジックのどこかに出てきた、「腐敗のウーズ」からとりました。
第121話
ソーレ、ソレ、ソレ、お祭りだー はなんとか忍者ですね。
他にも何かあったかもしれません。
最終話の副題『黄昏から闇に至る』はまあそういうことです。
そうそう、アズラン・レイはアスカとレイでした。
トルシェの方は、ゴミクズから連想される言葉を繋げたものです。
なかで使っていた「ᛈᛟᚹᛖᚱ」などの変な文字は、適当な英語をルーン文字化したものです。
ダークンの支配の指輪「ᛈᛟᚹᛖᚱ」:power
トルシェの器用さの指輪「ᛞᛖᛉᛏᛖᚱᛁᛏᚣ」:dexterity
アズランの速さの指輪「ᛋᛈᛖᛖᛞ」:speed
[宣伝]
完結続編
異世界ファンタジー
『常闇(とこやみ)の女神 ー目指せ、俺の大神殿!ー』
https://kakuyomu.jp/works/1177354055372628058 よろしくお願いします。
2021年12月1日より、続編連載開始
なぜか現代ファンタジー
『秘密結社、三人団 -神の国計画-』
https://kakuyomu.jp/works/16816700426096659154
連載中:
SF・コメディー、
『法蔵院麗華~無敵のお嬢さま~』
https://kakuyomu.jp/works/1177354054904992245
SF
『銀河をこの手に!-試製事象蓋然性演算装置X-PC17-』
https://kakuyomu.jp/works/1177354054898406318
完結済み:
現代ファンタジー
『異世界で魔王と呼ばれた男が帰って来た!』
https://kakuyomu.jp/works/1177354054894079776
異世界ファンタジー
『真・巻き込まれ召喚。 収納士って最強じゃね!?』
https://kakuyomu.jp/works/1177354054894619240
SF
『宇宙船をもらった男、もらったのは星だった!?』
https://kakuyomu.jp/works/1177354054897022641
それでは、みなさま、あらためてありがとうございました。
闇の眷属、俺。-進化の階梯を駆けあがれ- 山口遊子 @wahaha7
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